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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

4 CGMをマーケティングに活かす

4.5  「クチコミ」プロモーション


CGMを活用したマーケティングというと、多くの方がネット上の口コミ(=クチコミ)を利用したプロモーション(販促)のことを思い浮かべられると思います。広告をしないでもヒットする商品はインターネット登場以前からありました。広告との相互作用も含めプロモーションにおける有効なCGM活用とは?

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



昔からあった口コミでのブーム喚起


1973年のオイルショック時の「トイレットペーパー騒動」といった社会現象をあげるまでもなく、1995年の「プリクラ」や1997年の「たまごっち」などのように、企業がマス媒体への広告出稿やパブリシティをしかけることなくとも、その提供商品がブーム化した事例は、枚挙に暇がありません。

また、2000年頃から盛んに言われてきた「バイラルマーケティング」をはじめ「バズマーケティング」「ワード・オブ・マウス(クチコミ)マーケティング」などさまざまなB to C to Cのプロモーション手法が提唱されています。

ダイレクトマーケティングも含めた従来型のB to C のマーケティングコミュニケーションとは違う、「インフルエンサーマーケティング」「コミュニティマーケティング」「草の根マーケティング」「コーズ・リレイテッド・マーケティング」などといったBto C to Cマーケティングコミュニケーションのポイントとなる手法については米国のWOMMA(Word of Mouth Marketing Association)のサイトにもまとめられています。

Word of Mouth Marketing Association -- WOMMA -
Word of Mouth Marketing Association -- WOMMA -


さて、これらのB to C To C型のプロモーションに施策にCGMは、どのようなバリエーションを付加しているのでしょうか? 昨今の日本の消費財物販におけるCGMを活用したプロモーションの成功事例をいくつかみてみましょう。


CGMをうまくプロモーションに活用した事例


最近では、ブログやSNSをプラットフォームとした広告サービスや、ポータルサイトが提供する動画広告キャンペーン枠などがあり、それらを活用した

・ アフィリエイト展開
・ mixi公式コミュニティ展開
・ NIKEの『キメワザバトル
・ Yahoo!動画も活用したコカ・コーラのテレビCM 『Happiness Factory』ブログパーツの提供

なども、広い意味ではCGM活用プロモーションといえましょう。また、「やわらか戦車」「涼宮ハルヒの憂鬱」「恋のマイアヒ」といったコンテンツビジネス系には、大量の広告投下をせずともブーム化した事例が多くあげられます。

ただし、消費財物販における本質的なCGM活用プロモーションの成功事例はまだ少なく、戦略的に展開された事例としては、「男前豆腐店」が典型例としてあげられるくらいなのではないでしょうか?

男前豆腐店は2005年に設立された京都に本社を構える食料品製造販売企業で、こだわりの製法とともに「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」「ジョニ男」などの奇抜な商品ネーミングとパッケージングが特徴です。その商品の存在と独創的な企業サイトで告知したことがあいまって、ブログ圏での話題づくりやSNSコミュニティの形成にも結びつき、いまでは、大手流通も商品を扱うようになったばかりでなく、キャラクター商品の販売も行なうなど、CGMの成長にあわせて成長した企業の好例といえましょう。


企業のマーケティングプロセスにどう組み込めばよいのか?


いままで実施してきた広告の予算を、アフィリエイトやCGCMといったCGM活用サービスに振り分けトライアルしてみるといったアプローチではなく、本質的なCGM活用のプロモーションとは、マス広告を展開しないことを前提にしながらも、プロモーションのターゲット、数値目標、ゴール、予算などを戦略的に決定し、その上で、ブログ圏やSNSコミュニティで話題になるような「ネタ」を設定(バスプランニング)し、サイト・ブログパーツ・動画などのクリエイティブを開発し、SNSやブログなどに、話題発生のための下草を生やす作業を実施していくことになります。

いままで広告出稿を前提としてきた企業にとっては、GRPなどどれだけの出稿をすればどれだけの認知が獲得でき、理解促進・購入喚起ができるかといった指標のもと生産計画やマーケティングコミュニケーションを計画してきた訳ですが、この本質的なCGM活用プロモーションは、まったく新しい指標のマーケティングプロセスへの導入ともいえるものなのです。

このアプローチがその企業のマーケティングプロセスとして定着するためには、クチコミ・話題がどう広がったのかを追跡・効果測定するためのトラッキングの仕組みも必要ということになりましょう。

このように、本質的なCGMを活用したプロモーションを導入するということは、広告出稿金額・営業マンの数・流通取扱数・店頭施策予算などといった量的なマーケティング資源投下による売上げのコントロールではないことがわかります。
ユーザーもメディアをもつにいたったこの時代、広告をしようがしましが関係なく、企業(人)として備えなければならない商品開発センス・クリエイティブ力・コミュニケーション能力といった「企業の質的なコミュニケーション能力(バザリティBuzz+Ability)」が問われるようになるといっても過言ではありません。


次回もお楽しみに!!

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