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7.1 自社サイトでの「商品/サービス・キャンペーン関連」は広告?

2024.5.3 FRI

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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

7 CGM等の最新動向と企業コミュニケーションの方向性

7.1 自社サイトでの「商品/サービス・キャンペーン関連」は広告?

CGMの定義・分類からはじまって、「リード/ライト」型インターネット環境でのブランドコミュニケーション管理体制まで、考察を進めてきました。ここからは「終章」として、CGMをはじめとしたWebの最新動向を踏まえながら、企業サイトや企業のコミュニケーション活動の方向性をまとめていきたいと思います。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



「2007年日本の広告費」にみる広告

2008年2月20日に株式会社電通から、恒例の「2007年(平成19年)日本の広告費」が発表になりました。

◆電通ニュースリリース:2007年の日本の広告費は7兆0,191億円、前年比1.1%増 [PDF]
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2008/pdf/2008008-0220.pdf

多くの新聞やオンラインメディアが見出しを躍らせて、
●    年間総広告費が4年連続増で、7兆円台(昨年比1.1%増)。
●    ネット広告費が24.4%増の6,003億円で、雑誌上回る。
●    マスコミ広告は減少、ネット広告が急増。
といった、内容を伝えています。

ただ私が注目したいのは、電通の今年の発表は、従来からの「日本の広告費」の媒体別広告費の推定範囲を拡大する方向に改訂されたことです。

ちょうど1年前、私は自分のブログでも言及したのですが、従来の「日本の広告費」のインターネット広告費には「広告制作費」は含まれておらず、いわゆる広告代理店(メディアレップ)を通じて売買された「媒体費」のみが計上されていました。

◆2006年「日本の広告費」の読み方 - つくねパパのblog

今年のインターネット広告費の推定範囲は、「インターネットサイト上の広告掲載費(モバイル広告を含む)および広告制作費(バナー広告等の制作費および企業ホームページの内、商品/サービス・キャンペーン関連の制作費)」に改訂され、その定義に則って2005年まで遡って媒体別広告費を計算しなおしたところ「ネット広告費は、実は2006年に雑誌を抜いていた」ということになったのだそうです。

電通が発表した媒体別広告費(推定範囲改訂後)
電通が発表した媒体別広告費(推定範囲改訂後)
まあ、雑誌広告も「フリーペーパー・フリーマガジン」など伸び盛りの広告費まで含めれば、巨大広告市場を形成しているわけで、「インターネット vs 雑誌」の広告市場の大きさを語るのは、単なる統計のお遊びとなってしまうのでどちらでのいいのですが、問題は、広告業界からみた場合「企業ホームページの内、商品/サービス・キャンペーン関連の制作費」が広告制作費として扱われてしまう点でしょう。



OWNメディアでのコミュニケーションは広告なのか?


本稿では、「リード/ライト」型インターネット環境でのB to C to Cコミュニケーションの核メディアとなる、OWNメディアである企業サイトでのコミュニケーション(管理・運用)のあり方を考察してきました。
その中で、何度も以下のようなことを重視ポイントとして指摘してきました。

●    情報発信ではなく、コミュニケーション
●    アクセス解析や広告効果実績、CGMでの評判等を踏まえた、頻度の高い更新作業
●    SMO(ソーシャルメディア最適化)
・    サイト内でのユーザーのリンク・アップロード行動支援
・    PDF/動画ファイル等のCGMへの投入
・    パーマリンク型URL管理と、各ページの永久的・恒常的なコンテンツ管理
●    企業サイト・ブランドサイト・関連サイト等、コンテンツ編集権をもったWeb担当部門による一元管理
・・・・

こういった方向性を鑑みるにつけ、(外部媒体枠を買うわけでない)OWNメディアである企業サイト制作費は「広告」なのか?とか、ページ制作・コンテンツアップロードはアウトソースすることがいつまで続くのだろうか?とか、そもそも制作費よりも恒常的なコミュニケーション「運用費」こそが費用としては重要なのではないか?などといった疑問でいっぱいになってしまうのです。

インターネット広告のうちでも、代理店を通さない(SEOをも意識した)SEM(検索連動型広告)や、CGMを意識したコンテンツ連動型広告などは今後も市場を拡大していくことでしょう。また、アマゾンアソシエイトに代表されるアフィリエイトはASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を通じての提供なら「広告」かもしれませんが、自前プログラムでの提供ならそれはもう「広告」ではなく、ユーザーコミュニティの一環とも捉えることもできる訳です。

今回実施された「日本の広告費」の推定範囲の大改訂は約20年ぶりとのことですが、次回の大改訂は、そんな先ではないような気がします。



次回もお楽しみに!!




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