
CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション
5 話題性・評判を「目標」としたコミュニケーション管理
5.1 評判分析の活かし方
ブログ検索サービスや「評判分析」サービスの普及で、消費者が書いたブログエントリーを、リアルタイムに分析することが可能となりました。ただし、これらの結果を鵜呑みにしてリアルビジネス企業のマーケティング意思決定に、よい指針が得られるようになったのでしょうか?
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[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。 |
評判分析サービス続々
ブログ検索サービステクノラティの登場で、ほとんど全てのブログのエントリー全文を分析対象にすることができるようになりました。また、「Google ブログ検索」「Yahoo!ブログ検索」「gooブログ検索」「livedoor ブログ検索」「Ask.jp : ブログ検索」など検索ポータルの多くがブログ検索も提供するようになっています。
上記のような各ブログ検索サービスもアウトプットに工夫を凝らすなどサービスの向上につとめていますが、一歩進めて、ブログをはじめとしたCGMの書き込み内容を分析し、企業のマーケティング活動を支援すべく、以下のようなサイトが「評判分析サービス」を提供しています。
【ブログ分析サービス(評判分析)を提供している主要サイト】
◆ @nifty BuzzPulse(バズパルス)
◆ ブログクチコミサーチ by kizasi
◆ Dentsu Buzz Research
◆ blogWatcher 3.0b
◆ アメーバ 口コミ・クチコミ評判検索 β版
◆ 日本語意味理解製品:なずき
※デモサービス休止中
◆ blogViz センサー
これらの評判分析サービスは、(無料)サイトサービスとしての提供とは限らないものの、テキストマイニングによるブログエントリーの分析サービスを展開しています。
また、その他のテキストマイニングツールを提供している企業でも、サイトサービスとしては展開していなくとも、受託という形では、ブログエントリーを対象にした評判分析サービスが可能となっているはずです。そして、どんどん速い・安い・精度が高いサービスが今後開発されていくことは間違いないでしょう。
このように、ほとんど全てのブログエントリーの(RSSだけでなく)全文を対象にした商品やブランド等の評判分析サービスをリアルタイムに得られることが現実味をおびてきた訳ですが、リアルビジネス企業は、この大量の定性的情報の定量分析結果を、どのようにマーケティングやブランドコミュニケーション等に活かしていけるのでしょうか?
企画・戦略立案フェーズでの活用
これらブログ内のキーワード出現数データは、Googleトレンドで使われているような検索数データと並んで、トレンド把握には重宝なものといえます。
リアルビジネス企業のマーケティングプロセスのうちの企画・戦略立案フェーズにおいては、新聞・雑誌・統計書・Web検索等のデスクリサーチやタウンウォッチング、グループインタビューやアンケートといったリサーチ活動で、アイデアの源泉情報を得ている訳ですが、これらに付加されるまたは代替できる手法として、評判分析結果が機能するケースは多いことでしょう。
ただし、この場合においても、ブログ評判分析での「ポジ/ネガ表現分析」「論調分析」の結果については、取扱いに注意が必要です。
よく、ワースト●●賞とかB級○○といったランキングがありますが、これらにランキングされる対象は、ネガティブ評価のようにもとらえられますが、ある意味ヒットやブームを起こしている物が多いです。また、ブログエントリーは必ずしもある特定のブランドを評価しているものばかりとは限りません。
形態素解析後の特定ブランドに対する形容ワードの共起構造分析などでは、必ずしもポジティブな形容詞が共起されているからといって、そのブランドがアイデアの源泉になるとは限りません。また、特定ブランド名との係り受けを分析した結果は、分析対象となるエントリー例が非常に少なくなってしまうケースが多いものです。そもそも形態素解析によるテキストマイニングは、文章ごとの分析とその構造把握はできても、各ブログエントリー全体の論旨を要約するものではないということを認識すべきと考えます。
では、「ポジ/ネガ分析」等は、企画や戦略立案のためのアイデアの源にもならない、役に立たないものなのでしょうか?
私としては、現状のサイトサービスで提供されている「ポジ/ネガ分析」結果は、参考数値にとどめ、具体的エントリー閲覧への誘導役(ガイド)として活用することをおすすめします。もう一歩すすめていうと、分析の対象となった個別エントリーへの誘導機能を備えていない現状の「ポジ/ネガ分析」は、その開発の成功のための担保にはならないのではないかと思っています。
企画・戦略立案フェーズにおけるアイデアの源泉を得るための評判分析結果の使い方は、どちらかというと個人の日頃の情報収集活動に依存することが多く、企業のマーケティングプロセスには設定しにくいこともあるでしょう。組織としてマーケティング活動に評判分析結果をしっかりあてはめていくためには、販売予測や開発の成否のシミュレーションデータとしての信頼性が担保される必要性があるように考えられます。
マーケティングサイエンスの領域で、ブログ等のCGM(消費者作成メディア)でのバズ(クチコミ・話題性)の発生・伝播と、ブーム・商品ヒット・売上との因果が研究され、学会等で発表されつつありますが、アフィリエイトブログや、機械生成のブログ、ステルスマーケティングともいえる「やらせ」ブログの存在など、企業活動により消費者の生の声がかえってとらえることが難しくなってきていることも事実なのです。
Webコミュニケーション強化、SMOのために使える!
このように、生産計画やマスマーケティング(B to C)コミュニケーション戦略立案の意思決定の切り札として、評判分析結果が活躍するようになるためにはまだ暫らくの時間が必要な状況と認識しますが、ことB to C to Cコミュニケーションを前提とした場合には、ブログ分析・評判分析の活用は、現在でもとても有効に活用できる状況といえましょう。
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ブログ検索サービスのテクノラティでは、リンクを張るという行為そのものをブログの「対話」と位置づけています。
自サイトのコンテンツURLが、どのようにCGMに引用され、どのように論じられているかを把握し、またそういったリンクを促進するためにはどのような手立てを打つべきかを日々運用・管理していくため、SMO(ソーシャルメディア最適化)のために、とても重宝するツールがブログ検索や評判検索といえるのではないでしょうか。
次回もお楽しみに!!




