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1.5 フォトシェアリング(写真共有)・ビデオシェアリング(動画共有)

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CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

1 CGM(消費者生成メディア)の隆盛

1.5 フォトシェアリング(写真共有)・ビデオシェアリング(動画共有)

携帯電話にカメラ機能がついているのは当たり前となりました。また、素人撮影ビデオや防犯カメラがとらえた動画がよく事件・事故の報道でも使われるようになっています。いたるところで生成されるこれらの写真や動画は、CGMにより新たな流通経路を確保しています。今回はその様子をおさらいしながら、企業のWebコミュニケーションのあり方への影響などを探ってみましょう。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社でのR&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。


フォトシェアリングはSNSの基本機能に

自分(たち)で撮影したデジタル写真をサーバにアップロードし、仲間内で共有したり、プリントサービスの発注機能なども提供しているWebアルバムサービスと違い、フォトシェアリング(写真共有サービス)には、不特定多数やSNS内の「お友だち」に写真を公開し、その写真が検索されやすいようにタグといったキーワードで分類したり、その写真についてコメントしあうといった機能が備わっているのが特徴です。

米Yahoo!が昨年買収したフリッカー(Flickr)がフォトシェアリングの代表的サイトで、日本人ユーザーも多くなっています。日本でもポータルサイトなどが運営しているサイトサービス例が見受けられますが、mixiやGREEといった老舗のSNSにも機能付加されたり、MySpaceやVoxといった日本上陸型のSNSには基本機能として備わっているなど、SNSの必需機能となっているのがフォトシェアリングといってよいでしょう。

オンライン旅行ガイドをみんなでつくるといったサービスで日本最大級の旅行者参加型コミュニティを形成しているフォートラベルや、料理レシピを共有するクックパッドなどは、このフォトシェアリング機能を上手に使ったソーシャルメディアの例としてあげられます。

多国語対応したYouTube

フォトシェアリングがSNSなどの基本機能化しているために、カメラメーカーなど一部の企業のマーケティング事例を除いては、リアルブランド企業がフォトシェアリングの機能を単独でビジネスに結び付けている例はなかなか見つけられないなか、フォトシェアリングの動画版ともいえるビデオシェアリング(動画共有サービス)は、新しいサービス展開やリアルビジネスへの適応の模索がいろいろと見受けられます。

世界最大級のビデオシェアリングで、昨年Googleに買収されたことでも話題となったユーチューブ(YouTube)が、先日(2007年6月19日)、英語だけでなく、日本、ブラジル、フランス、イタリアなど10カ国語に対応したサービスを開始しました。

この「YouTube Japan」では、正式に日本語でタグが扱えるようになったほか、ヘルプページなども日本語対応になっており、今後は動画ランキング等それぞれの地域に合わせたサービスも提供されることになると思われます。

フジテレビラボLLCによるワッチミー!TV、Ask.jpによるAskビデオ、サイバーエージェントによるアメーバビジョンなどの国内サービス組も戦々恐々といったところでしょうか?

変わるバイラルCM

ビデオシェアリングの登場により、放送業界や広告業界においては、著作権ひいてはビジネスモデルそのもののあり方にまで議論が起こっています。そうですビデオシェアリングの可能性は、単にユーザーが個人的楽しみのために動画をアップロードし共通するといった使い方にとどまらず、ブロガーなどによりその動画がリンク引用されることで、放送やVOD(ビデオ・オンデマンド)サービスに近い動画配信機能を提供するところにあるといえるのです。

企業が制作した動画をインターネット上で伝播させる施策の典型例としては、バイラルCMがあげられます。

バイラル(viral)とは「ウイルスの」、「ウイルス性」という意味で、バイラルCMは「テレビCMと比べて費用が掛からない」、「視聴された回数が容易に測定できる」、「視聴の長さや規制の弱さから訴求力・インパクトの強い表現が可能」などのメリットをもった、企業の動画配信による広告手法です。

従来のバイラルCMは、ジャンルやカテゴリでCMを検索できるバイラルCMポータルからその動画を伝播させるのが一般的でしたが、YouTubeに代表されるビデオシェアリングの出現は、ブロガーなどによるリンク引用も手伝って、動画伝播の仕組みを急速に整備し、バイラルCMに新風をまきおこしつつあります。

そして、ビデオシェアリングは、「コンシューマー・ジェネレーテッド・コマーシャル(CGCM)」ともいわれるような「消費者参加のCM表現・制作」といった新しい手法までも登場させています。

みなさんの中にも、「Diet Coke & Mentos」のバイラルCMをご覧になった方は多いのではないでしょうか?


この「Diet Coke & Mentos」のクリエイティブは、元々はCoca Cola社やMentos社が作らせた物ではありませんが、後にMentos社がキャンペーン仕立てにするなどで視聴回数を稼ぎ、バイラルCMやCGCMの代表例となっているものです。

Web担当者としてビデオシェアリングをとらえる視点


リアルビジネス企業のWeb担当が動画を配信するといった場合、公式Webサイトなどで、CMや企業紹介番組を見せることが一般的な考え方でした。

ブロードバンド普及が促進された今日、自社サイトで動画をはじめとしたリッチコンテンツを配信していくことは、今後も増えていくことが予想されます。

ただ、今まで見てきたように、「リード/ライト」インターネットの世界は、自社サイトのみで視聴可能とする動画配信よりも、数倍の情報伝播力を備えた環境を企業にも提供しはじめているのです。CMやPR・IRのための企業紹介ビデオ等に関しても、自社サイトのみで配信することが最善なのでしょうか?

自社サイトでの配信と同調させながらも、プラットフォームとしてのWebに企業自らがアップロードすることを前提に動画制作から取り組んでいくなど、Web担当者にもコミュニケーション効率の管理手腕が求められてくことになるのでしょう。


次回もお楽しみに!!
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