7.6 企業コミュニケーションの最適化に... | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて



CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション

7 CGM等の最新動向と企業コミュニケーションの方向性

7.6 企業コミュニケーションの最適化に向けて


「CGMから考えるWeb制作とコミュニケーション」とのテーマのもと、いわゆるWeb制作や視覚デザインの範疇ではなく、Webコミュニケーションの運用・管理に重心を置いて「コミュニケーション戦略論」まで書き進めてきましたが、いかがでしたでしょうか? このMdN Interactiveをよく訪れる方々にとっては、即戦力となるような情報を提供できないまま、ここに至ってしまったのではないかとも危惧している次第です。

解説:加藤 智明(つくねパパ)



[プロフィール]かとう・ともあき● 株 式会社クリエイティブガレージ インタラクティブコミュニケーションプロデューサー兼株式会社グロース・パートナーズIRコミュニケーションコンサルタント。市場調査会社での R&D業務経験を活かし、1999年よりWebマーケティング、ネットビジネス支援、Eコマースコンサルティングに携わる。プライベートでは、 ペットのミニチュア ダックスフントを愛する「つくねパパ」としてblogging。



「B to C to Cコミュニケーション手法」の成功の鍵としてのSMO


とかくCGMというとマスメディアとの対比で語られることが多く、またマスメディアの主たるビジネスモデルともなっているマス広告とクチコミとの対比で連想されがちです。本稿の執筆を始めるにあたり、当初ご相談いただいたテーマは、「CGMマーケティング」「クチコミプロモーション」に関するものを具体的に、ということだったことを記憶しています。

確かに、企業から提供される情報・サービスを享受することが中心の「リードオンリー」の状態のまま、インターネットがマスメディア化しているのであれば、企業は従来のコーポレート・コミュニケーション戦略やマーケティング・コミュニケーション戦略の中で、効率のよい・効果の測れるメディア・ビークル(広告枠)の選択肢として自社サイトやWeb広告サービスを受け入れればよかったところ、CGMやソーシャルメディアの隆盛がもたらしつつある超民主的な「リード/ライト」インターネットの世界では、企業に「B to C to Cコミュニケーション手法の導入」から「コミュニケーション戦略の見直し」までをも迫っています。


その「B to C to Cコミュニケーション手法の導入」や「コミュニケーション戦略の見直し」について、新しいサービスの動向も紹介しながら、できるだけ概念論にならぬよう書き進めてきました。私としては、考えを膨らまし整理するよい機会をいただいたことになり、本当に感謝しております。

「B to C to Cコミュニケーション手法の導入」についてはさまざまなキーワードを紹介してきました。その中で最も重要ともいえるのがSMO(ソーシャル・メディア最適化)になろうかと思います。

さて、そのSMOですが、前章でも触れたとおり、CGMやソーシャルメディアの台頭が導く「リード/オンリー」インターネット時代の新種のサイトプロモーション施策として位置づけられるのが一般的です。

ブログやSBM(ソーシャルブックマーク)からのリンクを促すための策や、引用されやすい画像やツールをサイト上での配布することなどが、代表的手法として紹介されることが多いSMOですが、ここまで書き進めてくるうちに、私としては以下のようにSMOの解釈を拡大してみるようになりました。


●WebサイトコンテンツをSMOするということ
→更新頻度の高い情報発信
→「N対Nのコミュニケーション」の実践

●Eコマースにおける商品そのものをSMOするということ
→ブロガーなどへの実売品サンプリング

●(使用シーン、取扱い説明等の)商品訴求(動画)ファイルをSMOするということ
→バイラルCM、CGCM

●通販の仕組みをSMOするということ
→自前アフィリエイトプログラム


こうしてみると、SMOとは、企業がもっている各種資産の「ソーシャルメディアへの開放・共有化」の手段であるともいえ、サイトプロモーション策の範疇を越え、クチコミプロモーションやWebサイトに代表される自社メディアでのコミュニケーションのKFS(成功の鍵)として位置づけられるとも考えるようになりました。

すでにブランディング資産をもち、リーチの大きいマス広告での情報発信手段をお持ちの企業サイトでも、クチコミプロモーションやWebサイトでのダイナミック(動的)コミュニケーションを効率的に実践していく上では、この広義のSMO手段を駆使することが必要となるわけです。

そこで問題になるのが、企業が既にお持ちの「マーケティングやコミュニケーションの量的・質的資源」との相乗効果の発揮のさせ方・統合管理の仕組みの持ち方で、その実行のためには、組織の変革まで迫られる企業も多いのではないでしょうか。


統合管理のための、「運用型」コミュニケーション管理体制


マーケティング・コミュニケーションの領域では、インターネットの普及以前から「インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション(IMC)」が提唱されてきました。これはマス広告などの間接的コミュニケーション効果をリーチやブランド浸透度などで語るだけではなく、SPやPRなどの手法も複合的に管理し、効率化・ビジネスプロセス化・戦略化を図ろうというものです。また、PR領域側からも「コーポレート・コミュニケーション統合」といったアプローチも提唱されてきました。

ターゲットユーザーの反応も捉えることのできる直接的コミュニケーション手段であるインターネットの普及により、「インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション(IMC)」もその管理法の見直し機運が起きています。そこにきてCGM・ソーシャルメディアの台頭が、組織としての公式情報の発信に加え、「B to C to Cコミュニケーション」をもどう管理していくのかなど、新たな課題を提供しているとも考えられます。

本稿では、Web担当者・Webマスターによるコミュニケーション管理の視点として、何度も【「リード/ライト」インターネットでのWebサイト&コミュニケーション管理の視点】という図を提示してきました。

リアルブランド企業が「リード/ライト」インターネットを前提に、「インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション(IMC)」や「コーポレート・コミュニケーション統合」をビジネスプロセス(戦略)化していくにあたっては、B to C to Cコミュニケーションの核メディアとなる「企業サイト(のあり方・位置づけ)」が非常に重要なものとなることでしょう。

Web担当者レベルでは、自社サイトでのコミュニケーションの反応・効果指標として、アクセスやコンバージョン状況の把握とともに、プラットフォームとしてのWeb上で、ブログや掲示板・SNSなどのCGM・ソーシャルメディアでの引用・露出・評判をウォッチしていればこと足りるわけですが、、【「リード/ライト」インターネットでのコミュニケーション統合】に向けては、Webでの評判だけでなく、リアルコミュニケーションへの影響度やその伝播経路なども把握する必要が生じてきそうです。



「リード/ライト」インターネットでのWebサイト&コミュニケーション管理の視点

レガシー企業とも位置づけられるリアルブランド企業からWeb制作・Web構築の依頼を受ける時、「アクセス解析はどうされていますか?」と問うと、「そこまではやっていない」「予算がなくてできない」「Web担当・マスターがいない」などの発言をいただくことがよくあります。また、「リニューアルはどれくらいの期間で行うのが望ましいのか?」とのご質問をうけることもよくあります。「リードオンリー」インターネットでの効率的Webサイト運営にも取り組まれていない企業がまだまだ多く存在していることも確かなようです。まだまだWebサイトというと、TOPページの見た目やサイトタイトル名での検索エンジンTOP表示の価値でした捉えていない企業も多く、「リード/ライト」インターネットでのコミュニケーションツールとして位置づけるまでには多くのハードルを越えなければならない企業も多いようです。

もちろん、アクセス解析の週次・月次レポーティングを外部サービスが提供することは可能で、私も多くの企業サイトのアクセス解析や検索順位を日々、確認させていただいていますが、大切なのは、日々の運用・管理からの情報をいかに日々のコミュニケーション活動に反映させるかといった視点です。この日々のコミュニケーション活動実現のためには、予算はそれほど必要なく、外部サービスに委託できるものではないことを是非認識いただきたいと思います。

継続的な運用型管理の下、自社Webサイトのメディア力・コミュニケーション力の向上を図るとともに、コミュニケーションの統合管理の実現に歩みだされる契機になることを希望しつつ、本稿の筆を止めさせていただきます。



ここまでお付き合いいただいた読者の皆様、ありがとうございました。




twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在