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カラーマネージメントモニタ

NECから高性能のマルチユースモニタがリリース

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MultiSync LCD-PA241W

NEC


2010年2月末に発売予定の高性能マルチユースモニタを販売直前に先行チェック。24.1型のワイド液晶モニタはさまざまなシチュエーション やユーザーの高度なニーズに対応できるように、微に入り細に入り性能を高めたNECディスプレーソリューションズの最新の製品だ。カラーマネージメントす るユーザーを念頭に、ハードウエアキャリブレーション、高度な3D-ルックアップを搭載したカラーエンジン、10bit入力対応のIPSパネル、多彩なピ クチャーモード、14bitガンマ補正と、プロファイルを使ったシミュレーション機能、盛りだくさんの内容だ。早速、カタログスペックでは出てこない実性能を探ってみた。


デザイン性が高く好感触のモニタ


こういったキャリブレーションモニタは、鳴り物入りでリリースされても実体はたいしたことがないケースが多い。実際、筆者のもとに箱が届いた時も、シンプルな段ボール一個だけでスペックを見るまでは廉価版モニタと勘違いしていた。

しかし、PCに接続して描写してみると、これがなかなかの高性能。そこではじめてスペックを見て、かなりびっくりした次第。

どうも、虚飾を一切廃して極限まで性能を高めた結果、販売価格との折り合いでシンプルな状態になったと推察される、まるで絞りきったスプリンターのような状態であったのだ。ホント、誤解しちゃってすいません、と内心思いながら、いつものテストをしてみた。

付属品類は、シンプルにVGA、DVI、DisplayPortの3ケーブルに電源ケーブル。壁掛け用ネジ、それと薄っぺらい設置マニュアル・オール言語版とCDだけだ。さすがにキャリブレーションモニタを購入してVGAも疑問であるが、あらゆるユーザーニーズに対応する姿勢を垣間見るのは、スペックを参照すればすぐにわかる。

ただし、スペックやリリース情報は製品HPで参照できる為、そのあたりは割愛する。MultiSync LCD-PA241WのHPをみればわかるネタをわざわざ記事を見て納得する方もおられないだろうからだ。

さて、外見は、気持ち胸板の厚い体格のボディに、シンプルながら高性能のスタンド、それにレボルビング機能を搭載し、頭部に持ち手がついていてこれが意外に取り回しを簡便化する。コントロールパネル類も大変使いやすく、好感度が高い。レボルビングできるから接続も大変容易で、くるっと首を回して接続すればオッケーだ。スタンドにはケーブルも収納できるから見た目も美しい。


オプションが多いのも特徴の1つ?


気になる点として、ハードウエアキャリブレーションを誇る一方で、フードやキャリブレータ、専用ソフトに至るまですべて別売で、これらのオプションをすべて購入するとプラス5、6万の上乗せになる。本体だけの市場価格が2010年2月中旬現在の価格ドットコム調べで最安値12万7971円(税込)、おおむね平均13万円前後であるから、この手のキャリブレーションモニタとしてはかなり安い部類に入るだろう。

追加で買わないと話にならないのは専用キャリブレーションソフトウエア(SpectraViewⅡ=16800円)で、ハードウエアキャリブレーション、つまり、モニタ自体の機能を使った高度なキャリブレーションをするには、このソフトがないと不可能なのだ。ソフトを買わない場合、わざわざこういったモニタを購入する意味があまりなく、VGA接続でミドルクラスをソフトキャリブするのと変わらなくなってしまうため、注意が必要なのだ。そのため、これが別売であることが謎。おまけに、テスト段階ではリリース前で、ソフトもないというオチまでつく。というわけで申し訳ないことに、全部の性能までは引き出しきれなかった。

さらに専用フードが2万円で、2010年3月31日まではフード付きキャンペーンをしているから、購入するつもりなら早い方がいいだろう。
直球でいうと、この製品のライバルは明らかにナナオ(EIZO)。その為の購入動機として安い価格設定にしたのであろうが、そのためにへずりすぎているオプションを別売に回した関係で、結果的には価格的アドバンテージはゼロ、またはリリース後しばらくしたら、本体は下がるもののオプションは下がらない現象が起こって、オプションを加えると割高になるという負のスパイラルだ。

ついでに辛口で書けば、付属のUSBコードはついてこないため、それも購入しないといけない。アップストリーム用の台形になっている奴のことだ。悪気はないのであろうが戦略ミスと思われる。

それとレボルビングオート対応やセールスポイントの表示10bitを最大限引き出すには、PC側のグラフィックボード自体もそれに対応している必要がある。したがって、それらも、ユーザーの現状を見据えて購入を考慮しなければならない。これは、WinでもMacでも一定以上高度なグラフィックボードでなければならない。それと、ソフトの情報が出ていないが、同等既出のSpectraNavi-JではグラッフィックスチップやOSヴァージョン等制限が多いため、それらが踏襲されるとすると、購入前に自分の環境をきちんと確認して対応するか、対応しないなら何を買い換えなければならないか十分検討した方が良い。


納得&満足の描画性能


天下のNECブランドが、キャリブレーションモニタの独壇場を構築しているナナオにぶつけるだけあって、本体機能だけは猛烈にすばらしい。ナナオには遜色ないし、新たなライバルとしてナナオを震撼させるには十分すぎるといえるだろう。

ざっくり性能を記すと、10bitのIPSパネルで1900×1200でドットピッチ0.27mm、AdobeRGBカバー率98.1%、NTSCカバー率93.2%、視野角178度で輝度が最大360カンデラ、コントラスト比が1000:1、応答速度が16ms、グレーtoグレーでは8msだ。

対応ピクチャーモードはsRGBはもとより、AdobeRGB、REC-Bt709(HDTV用)、DICOM(医療用)、ユーザーモードと多彩に存在し、これだけをみても、高度なグラフィックユースのユーザー向け商品であることがよくわかる。余談だが、スタンドはワンタッチで外れ、オプション別売の壁掛けパーツで壁掛けに簡単にチェンジできる。つまり、グラフィックユーザーといっても、単純な静止画や動画ユーザーだけでなく、プロフェッショナルの現場で静止画や医療、映画などを扱うユーザーをターゲットに開発されているわけだ。NECの法人顧客すらも満足させる機能であるから、それだけ性能は折り紙付きと考えていいだろう。

実際の見え具合はというと、文句の付けようもない。敢えて言うのであれば、グラデーション描画が若干、というのはあったが、ハードウエアキャリブが出来なかったため、この情報は信用できない。

なお、もとから6500Kのパネルを設定し、コントラスト比1000:1を誇る為、モノクロ描写も大変美しい。筆者のテスト環境ではDVIを用いたが、DisplayPortを用いれば10bitをフルに使える為、もっと滑らかであるはずだ。

また、動画性能も、十分な結果であった。例によって動きの速い映画などをさらっと鑑賞してみたが、決して速いとは言えない16msが気になることはなかった。真っ暗なところで閃光が走るようなシーンではちらつきがでたり、パンした時にちらついたりすることもない。是非、完璧な状態でもう一度テストしてみたいと思わせる一品であったと敢えて述べておこう。

 

そのほかの機能をチェック!


細かい機能は盛りだくさんであるが、すべての性能を必要とするユーザーはほとんどいないはずだ。これは、さまざまなユーザー向けに開発されているから仕方がない部分であろう。それだけ、多くのユーザーに販売する計画でこの価格を実現していることを考慮すれば、使われない機能がもったいないと思いつつ、納得する。

保証はディスプレイ本体のみで5年間or30000時間で、液晶パネル部分だけは3年間だ。

USBアップストリームも二口、ディスプレーポートも複数で、モニタ側で切り替えて二台のPCの接続に対応できるから、仕事に応じてPCを切り替えているユーザーには結構ありがたい機能だ。この機能、日本製モニタには多いもので意外に重宝するが、USBまで二口なのは結構珍しい。

モニタ側の設定で二画面が表示可能で、さらに二画面のカラーモードが変えられる(sRGBとAdobeRGBを同時表示)など、特異な機能がついているが、これらは意味があるのか微妙。

機能がついているのはありがたいが、ソフトやOS側の対応も必要である為、オールユーザーが享受できるわけではない。

それと、付属CDでモニタのテストパターンアプリがついてくる。CDには取説とテストパターンアプリとプロファイルなどが格納されている。このアプリ、WinユーザーはVistaまで対応しているが、Macユーザーは、なんと!OS8.0~8.6対応である。OS8系は97年のリリースなのでなんと10数年遅れ!フォトショップで十分作れるレベルのテストパターンだから関係ないのであるが、いくら何でもちょっと恥ずかしいので、CDの構成を見直すことをNECに強くオススメする次第。

ICCプロファイルを使った異なるプロファイルのシミュレーション機能(NECではエミュレーション機能と呼んでいる)が、「専用ソフト」で対応出来る。これも2月下旬に無償ダウンロード可能なので、筆者テスト時は何もできなかった。

キャリブレーションモニタで重要なところが一切テストできないという、いたく寂しいレビューであったが、ハードそのものの性能が極めて高いため、全部揃ったところでまたテストしてみたいものだと強く思った。それだけに、購入検討は決して間違っていない。



001それぞれ、見下ろし、正面、最大ふりの見え方を同露出で撮影したもの。実際の感じでは、見下ろしが若干明るめでもわっと見えるので、モニ タ正面から観察する方がいいだろうそれぞれ、見下ろし、正面、最大ふりの見え方を同露出で撮影したもの。実際の感じでは、見下ろしが若干明るめでもわっと見えるので、モニタ正面から観察する方がいいだろうそれぞれ、見下ろし、正面、最大ふりの見え方を同露出で撮影したもの。実際の感じでは、見下ろしが若干明るめでもわっと見えるので、モニタ正面から観察する方がいいだろう
それぞれ、見下ろし、正面、最大ふりの見え方を同露出で撮影したもの。実際の感じでは、見下ろしが若干明るめでもわっと見えるので、モニタ正面から観察する方がいいだろう

レボルビングの縦位置は、右側が下になる。ボタンは一が巧妙で、レボルビングでは左側になる

レボルビングの縦位置は、右側が下になる。ボタンは一が巧妙で、レボルビングでは左側になる

 

グレーを表示した状態。なかなか良好だ

グレーを表示した状態。なかなか良好だ

 

グレーのアップ。グラデーションに若干、トーンジャンプ様の表示が出る。接続はDVIでノンキャリ部、データは8bitのRGBグレーだ

グレーのアップ。グラデーションに若干、トーンジャンプ様の表示が出る。接続はDVIでノンキャリ部、データは8bitのRGBグレーだ

 

持ち手。これは存外便利。あると無しとではかなり違う。細かいことだが、よく解っているといえる

持ち手。これは存外便利。あると無しとではかなり違う。細かいことだが、よく解っているといえる

 

こちらも地味なお便利機能。ボトム時にスタンドロックが出来る。持ち上げてもスタンドが伸びないわけだ。ただし伸ばしている時ではロックは関係ない

こちらも地味なお便利機能。ボトム時にスタンドロックが出来る。持ち上げてもスタンドが伸びないわけだ。ただし伸ばしている時ではロックは関係ない

 

スタンドのケーブル格納部分。引っかけたら上のカバーを下げるだけ。すごく便利

スタンドのケーブル格納部分。引っかけたら上のカバーを下げるだけ。すごく便利

 

スタンド付け根の謎のフックを押してスタンドを持ち上げると簡単にスタンドがはずれる

スタンド付け根の謎のフックを押してスタンドを持ち上げると簡単にスタンドがはずれる

 

はずれた状態。すごく簡単だ

外れた状態。すごく簡単だ

 

おいている状態で外れてしまうことはないし、実際、縦に置いた時点でフックを押してもスタンドは外れない。万が一あっても爪で引っかけているから安心だ

おいている状態で外れてしまうことはないし、実際、縦に置いた時点でフックを押してもスタンドは外れない。万が一あっても爪で引っかけているから安心だ

 

007OSD操作表示。ここではエコモード表示をしているが、面白いことにカーボン排出量を表示してくれる
OSDボタン(写真右)はかなり機能的で使いやすい。写真左のOSD操作表示。ここではエコモード表示をしているが、面白いことにカーボン排出量を表示してくれる

 

クビを90度レボルビングした状態で左側に出てくるコネクト部。ほとんどの接続はここでおこなう

クビを90度レボルビングした状態で左側に出てくるコネクト部。ほとんどの接続はここでおこなう


正位置で右側に一つだけ存在するUSBコネクタ。これも意外に便利といえるものだ。アップストリームのUSBケーブルを自費購入してPCと繋げば、モニタがUSBハブ化するから、キャリブレータからメモリまでさまざま付けられるからだ

正位置で右側に一つだけ存在するUSBコネクタ。これも意外に便利といえるものだ。アップストリームのUSBケーブルを自費購入してPCと繋げば、モニタがUSBハブ化するから、キャリブレータからメモリまでさまざま付けられるからだ





(矢部國俊)


■価格:128,790円〜

■おもなスペック
サイズ:61cm (24.1)型 (可視域対角61.1cm)
視野角:水平/垂直 (コントラスト比10:1時、typ.):178゜/178゜
解像度:(最大):1920 x 1200
表示色:(最大):約10億7374万色(約4兆3475億色中、DisplayPort 10-bit入力時)
■問い合わせ先:NECディスプレイソリューションズ
http://www.nec-display.com/jp/contact.html
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