液晶モニタ
1920×1080のフルHDに対応したワイド液晶モニタ
Hewlette-Packard 2159m
日本ヒューレット・パッカード
廉価版・汎用モニタが日本ヒューレットパッカードよりリリース。HPのダイレクトショップで発売される同モデルは、ハイビジョン・アスペクト比のマルチパーパス。hp社のPCセット販売にも連なっていて使い勝手の良さが伺える21インチ。滅多にテストすることがないコンシューマーモデルを使い倒してみた。

HP 2159m 21.5インチワイド液晶モニタ
セットアップ
hpの商品ラインアップはシンプルな型番表記なので、解りやすいが、ちょっと味気ない。手元に届いたモニタの箱を開けて、早速セットアップしてみた。全体のイメージは、「軽い!」ということだ。それ故、セットアップにはちょっとコツがいる。よくあるパターンとして、箱を開けて緩衝材をどかし、本体を取り出してビニールカバーを外すというのとは若干異なり、発泡スチロールが上下で一体なので、発泡スチロールごと本体を取り外して、机の上で寝かしながら外し、ビニールカバーを取り除く。そこから、足を押さえて本体をおこす、という感じだ。この梱包形式は若干小型のゲーム機やラジオなどでよく見られるもので、21インチモニタサイズではあまり見ない。わざわざこんな本体と関係ないネタを書いたのには深い理由があって、注意しないと開梱時に壊してしまう可能性があるからだ。
緩衝材が左右で挟んでいる2ピースで、ぴったり収まった段ボールから取り出す時、緩衝材ごと本体を強めにおさえておかないと、ちょっと危ない。また、本体をうつぶせに寝かした状態でビニールカバーを取って配線をコネクトするので、タオルなどをあらかじめ敷いておかないと傷になってしまう。この手のモニタは徹底した価格管理がされており、緩衝材に至るまで最小限しか存在しないから、注意しないと本当に危険なのだ。
さて、その価格管理の結果、本製品は税込み24,990円。モニタの方向性としては、PCで動画を見たりするユーザー向けのマルチパーパスモニタで、カラーマネージメントとか守備範囲外である反面、多くのユーザーにそこそこ満足してもらえるモデルに仕上がっていると言えよう。とはいえ、ダイレクトショップといくつかの量販店で実機が見られる程度の顔見せなので、実機を見て購入を検討すると言うのが自在にいかない。
ただし、モニタの単独販売はメインではなく、あくまで自社PCのセットのモニタを単独でも販売するというレベル。したがって、常にこの商品がビックカメラの店頭にあるわけではない。見に行けない検討ユーザーのためにこのあたりを掘り下げよう。外観は、価格よりも高級感があるが、元が低価格なので当然それなり。しかし、実機を見てそんなにリーズナブルだとは到底思えないだろう。間違いなくワンクラス上の感じだ。一方、同梱のパーツ類は必要最小限。各モニタケーブル(VGA、DVI、HDMI)と内蔵スピーカー用のアナログステレオケーブル、それと電源ケーブルに、オール英語の取説とCDだ。保証期間もぴったり一年間。余計なものは一切省いて価格に集中して、製造コストに少し余計に割いているような印象を受ける。
気になる性能
これら上記リンクは、hp社の都合でリンクが外れる恐れがありますが、ご了承いただきたい。パネルタイプは、IPSで、通常コントラスト比は1000:1、最大輝度は300カンデラで再現色域はNTSCの72%程度とかなりぼかした表現だ。そして、内蔵スピーカーが背面下部にステレオで搭載され、これらが小さいながら55wの出力を誇る。
画素ピッチは0.248mm、フルHD、3msの応答速度、視野角水平垂直160度、ピクセル数は1920×1080だ。サイズは536×392mmで厚みが200mmだ。重量は5.6kg。動画で気になるHDCPも対応している。意味がわからないのは「BriteView」テクノロジー。「高彩度、光沢かつ、映り込みしにくい独自のテクノロジーです」と解説があるが、それ以上は何も記載ない。HP内を検索しても情報がないので解らなかった。実際のところ、表面の光沢を含んだモニタの見え方を言っているのだと思われるが、これは軟質の光沢で、光沢で軟質というちょっと珍しい組み合わせ。通常、光沢(グレア)のモニタ表面は保護の意味もあって硬めが多いが、まるでノングレアのようにやわらかい。それで映り込みが少ないかというとそういうわけでもなく、映るものはしっかり映る。
今回も例によって長らく動画チェックをしてみた。映画などを見るにはなんにも問題ないだろう。いくつか気になったのは、視野角がとにかく狭いこと。このモニタメーカーの言う視野角はあくまで「みえる」レベルであって、きちんと見えていることは全く考慮していない。パネルの種類も相まって、ちょっと斜めから見るとかなりトーンは変わって見える。視野角は思った以上に狭いと見ていいだろう。この問題を少なくするにはモニタから離れればよいが、その分小さくなってしまって大きめの画面の意味はない。なお、IPSの特徴である黄ばみはわずかな傾きから観察できる。斜め上から見た場合、小さな文字の判別等は不可能だ。ユーザーはあくまで正面から清く正しくモニタと向き合う生活を送って欲しい。モニタ自体が軽いし、動きも軽快なので、迷わず顔の真正面に向けるといいだろう。
最大輝度では視認性が下がる。sRGBモードがあるのでそれを使う方がいいだろう。また、「ダイナミックコンストラスト比」なる項目があり、3000:1だという。自動的にバックライトの調節をしてコントラストを最適化することで、最大で3000:1と言うことらしいが、これも意味不明。点レベルでバックライト調節できるわけではないわけで、発想は悪くないが、そういう数字でユーザーをちょろまかすのはいかがなものかと苦言を呈したい。コントラスト比は、時間を固定した状態(実際は固定できないが)で、画面内の最大白と最小黒の明るさの差であり、時間の流れの中で表示輝度を変化させ、最大値と最小値を取るならそりゃ勝手に数値は広がる。また、この表示輝度をシームレスに変化できないのであれば、効果も半減するため、言わない方がいいんじゃないの? と言ってしまいたくなる状態だ。
なぜ噛みついているか解らない読者のために解説しておくと、コントラスト比はモニタの性能を示す重要な項目で、そのままパネル性能を示していると言っても過言ではない。バックライトが一定のLCDではLC(Liquid Crystal)のコントロールがいかに微細であるかを示すからだ。車で言えばスピードメーターみたいなもので、下り坂なら300キロ出ますと言っているようなものなのだ。画面解像度と全く同じ数のバックライトが存在し、それが3msで同調して明るさを変えてくれるなら詐称ではないが、昨今のLEDバックライトでは、せいぜい半径数センチの間隔に一個ある程度だから、画面全体で明るさを変えられる、ことしかできない。設定値の最大値と最小値を取るならなんだって言えちゃうため、企業のこういった行為を見逃すわけにはいかないのだ。筆者の20年前の顔写真を(つまり最大値)プロフィールに使う位なら笑って済まされるかもしれないが待ち合わせは不能に違いない。
テストは動画だけではなくて、制止画でも行った。グレーのグラデーションとステップの画像でテストしてみると、ハイライト部とシャドウ部で色のねじれ等(例えばハイライトは青いのにシャドウ部は赤いなど)は見られないものの、グラデーション表示はガタンガタンのトーンジャンプだ。内部処理のbit数は記載がないが、せいぜい10bitと言うところだろう。精細な写真画像の処理には全く向かない。あくまでPCで動画を観賞、補助的にいろいろできるレベル。
まとめ
筆者がモニタのテストをする時は、かなり長々おこなうのであるが、その中でも、ゆすってみる、と言うのがある。スタンドの強度やバランスを見ている。hpは伝統的になぜかスタンドの造りが苦手なようで、やっぱりかなりぐらぐらする。地震でも来たら、まずモニタを押さえた方がいい。
しかし、モニタの全体の印象としては全く悪くない。諭吉三枚で漱石と仲良くなれる価格でこの品質は、すばらしい企業努力と言える。事実、海外では大人気のようで、アジア地域の評価記事の多さに驚いた。作業のほとんどが動画やWEB、経理などであるなら、十分使える。ただし、日本製品のような手取足取りのサービスと高品質を望んではいけない。それらを放棄することを含んだ価格と言えるだろう。とはいえ、同一価格帯ではかなり検討している。

コントロール部分。ボタンは下側にある。好感度が高いのは、電源ランプが下側に奥ゆかしくあること。LEDが多い昨今、画面側にかなり輝度が高いランプがあるとモニタを見る際に邪魔になる。これを間接的に下側に表示させるのは、地味なことだがすごくありがたいことだ。おまけに、机にも青い光がやんわりと出てかわいい。しかも!このライト、モニタのコントロールで消灯させることができる。どうしても目に入ってしまって邪魔なら、消しておけるわけだ

背面。スタンドの穴に通すというシンプルな発想で、価格に全く影響を与えずにケーブル取り回しをよくするという工夫。つまんないと思うポイントかもしれないが、これこそ、大事なところなのだ。ただし、スタンドには見上げ見下ろし(チルト)と左右の回転以外の動作は出来ない。高さ調節なども不能だ

ちょっと解りにくいが、ここにスピーカー。どこから音がしているか解らないけどモニタの方から音がする、と言う状態で聞こえる。意外に出力があるのも面白いところ

コネクト部。左側の緑の小さい穴はステレオジャック。DVIもHDMIも搭載しているが、地デジチューナーは搭載していない。USBのハブもない

モニタのコントロールボタンは向かって右側のしたにある。非常に扱いやすい反面、この場所なのでモニタを持ち上げる際についつい触ってしまうのが難点。テスト中も何度か電源を切ってしまった

少し斜めから見ると黄ばむ。IPSパネルの宿命であるが、Wパネルの大きさと観察距離で言えば、50cmより近づいて観察するのには不向き。両端が少し黄ばむ

パネルのムラ。バックライト等のムラと言うより、製造時のパネルの押さえが悪いようだ

グレーのグラデーションのステップ。これはいかん。総合的な性能とそれに対する価格などから言えば大貢献しているだけに、まさに玉に瑕
(矢部國俊)
■価格 24.990円
■おもなスペック
表示サイズ:21.5インチワイド / 55.6cm (対角方向)
パネルタイプ:TFT LCDアクティブマトリックス(光沢BrightView)
画素ピッチ:0.2480mm
解像度 (最大):1920 x 1080(60Hz)
表示色 (最大):約1,677万色
コンストラスト比 (最大):1000:1
ダイナミックコンストラスト比(最大):3000:1
色度域 NTSC比:72%
視野角(水平/垂直):160°(水平)/ 160°(垂直)
応答速度:中間色域 3ms オーバードライブ機能搭載
最大輝度(明るさ):300cd / m2 通常
■問い合わせ先:日本ヒューレット・パッカード(株)
http://welcome.hp.com/country/jp/ja/welcome.html#Product