
第20回 Web2.0を支える環境の変化
今回は、前回の続きとして、Web2.0時代におけるビジネスモデルの再構築を考えていきましょう。Webこそがプラットフォームであることを思考の立脚点として、解説していきます。
解説:小川 浩(フィードパス株式会社)
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[プロフィール]
お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。
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ネット上のトラフィックを考える
Web1.0時代におけるネットビジネスの規模を表す指標は、PVであり広告インプレッション数です。そして、Web2.0時代のそれは、ネット上に流れるトラフィックそのもの担ったと言えるでしょう。トラフィックとは、インターネットに流通する情報量を意味します。それらは、WebサイトのPVであったり、広告インプレッションであるともいえますが、多角化する新しいインターネットの世界では、さらに検索キーワードの数、RSS/Atom Feedの量であるのです。これらはネットユーザーを起点とするので、ユーザートラフィックとも呼びます。
リアルの店舗では、店舗を開設する前に交通量調査を行います。その通りを歩く人の数、男女比率、年齢比率など、ビジネス上でターゲットとする顧客層が十分な量に達しているかどうかをきっちり調査します。あるいは、立地条件がその目的や利用者層が一致しているかなどを考えていきます。当たり前の話ですが、銀座と渋谷ではトラフィックの質が違うわけです。
Webにおいても、同じようにトラフィックの質の違いを十分に調査していくことがビジネスを成立させるキモとなっていくでしょう。
インフラの整備がWebの進化を促す
ユーザートラフィックを拡大化した最大の要因はブロードバンドの普及にあるといっていいでしょう。一般家庭にADSL、さらには100MbpsのFTTHが整備されたことによって、企業におけるネットユースと個人のそれとの間の格差はほとんどなくなり、すべてのネットユーザーは平等になったといえるでしょう。10年前のWeb普及期には、28.8Kbpsあるいは56Kbpsだった通信速度は、一気に数百倍のスピードになったわけです。
ネットワークインフラは整備されてきたことによって、これまでパソコンのハードディスクやイントラネットのファイルサーバーに保存されてきたさまざまなデータは、徐々にネット上に置かれはじめます。つまり、Web上にデータソースが集まり始めたのです。
Webこそがプラットフォームである。この環境が整い始めたきっかけであると言えるでしょう。
ムーアの法則は終焉するか?
Webを進化させるのはネットワークの高速化によるものだけではなく、コンピュータそのものの性能向上にも依存します。Webアプリケーションはインターネット上のサーバーにあります。とはいえ、クライアントサイド、つまりパソコン自体の性能もまたWebアプリケーションの動作に大きく影響します。そもそもクライアントであるパソコンそのものもまた、インターネットの接続ポイントの一つであるわけですが、より分かりやすい例を挙げればAjaxです。
Ajaxとは、これまで何度か説明したように、サーバーサイドにあるアプリケーションとデータの幾分かをパソコン側(ブラウザ上)に予め送り込み、クライアントサイドだけでアプリケーションを動作させるという仕組みです。従い、ブラウザはJava Scriptをサポートしている必要があるし、大きな容量をブラウザ側にプールするために、CPUやメモリに負荷をかけることになります。
1965年にインテルの創業者であるゴードン・ムーアが唱えたムーアの法則は「一定のシリコン上にエッチングできるトランジスタの数は18カ月ごとに倍になる」というものです。これがエンドユーザーから見ると「同じ価格帯のコンピューターの性能は18ヶ月で倍になる」ということになります。このようなムーアの法則は、1つのCPUに収納するトランジスタの物理的な限界から、2003年には終焉すると考えられましたが、実際にはその後も1つのCPUパッケージに複数のCPUを実装する、デュアルコアチップの製品化などにより性能向上がなされています。Web2.0はこのような環境変化によってもたらされた、現象といってもよいでしょう。

アフリケーションの変化

提供形態の変化
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■今回のポイント
Web2.0というパラダイムシフトは、ビジネス面でみるとユーザーを起点とした、トラフィックの質の変化であり、それを支えてきたのはネットワークとパソコンの性能向上であったりします。単純なことですが、小さな事実の積み重ねを認識することによって、Web2.0がなんであるかを理解していくことになるのです。
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次回につづく