
第3回 Web2.0技術のブラックボックス化が進む?
Web2.0的なサービスをWebサイトで展開するには、APIとUIがキーワードとなり、ますますこの傾向を深めています。しすて、APIやUIの進化 がWeb2.0技術のブラックボックス化を進めています。かなり難しい話に思えるかもしてませんが、これらの概要をわかりやすく解説していきましょう。
解説:小川 浩(フィードパス株式会社)
 |
[プロフィール]
おがわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。
|
Web2.0の普及の鍵を握るAPIとUIの進化
Web2.0 の定義や意義についてさまざまな論議がなされていますが、その本質を語ると論議の観点の違いによって多様な回答が出ると思います。しかし、これを利用することを考えると、異なるアプリケーションを組み合わせて利用するためのインターフェイスである「API」と人間がアプリケーションを利用するためのインターフェイスである「UI」の2つの発達に尽きるでしょう。
インターフェイスとは、ものごとの境界となる部分とその境界でのプロトコルを意味しています。プロトコルは、ネットワークで通信を行なう上で、相互に決められた約束事の集合で、通信手順を意味しています。
Web2.0のテクノロジーは、コンピュータとの連携を容易にするAPIと、システムの利用を容易にするユーザーインターフェイスに進化のポイントは移動してきていると言えます。どうやら従来のWebとは変質してきたらしい現代のWeb2.0を生かしたサービスや事業、リアル世界との連動を考えると、APIとUIをどれだけ進化させるかが普及の鍵になります。
そもそも、APIやUIの進化は、技術のブラックボックス化が進んでいるということに他なりません。ソフトウェアの開発において、高機能化にともなって年々複雑化していくOSやミドルウェアのソースコードを100%理解することは、既に相当の難事になっています。OSの上で動かすアプリケーションを開発するために用意されたAPIは、直接OSの内部構造を解析する手間を省くために作られています。Linuxのようにオープンソースのソースコードであっても、数年間にわたって多くの開発者に改良を重ねられたあげくに、複雑に積み上げられてきたソフトを解析することは至難の業です。その手間を省くために、開発者はAPIを活用するわけです。
API自体はそのOSなりアプリケーションなりの内部構造を公開するものではなく、あくまで部分的なデータや機能を呼び出すための、仕様の公開にすぎません。コアテクノロジーそのものは外部の人間にとっては、ブラックボックスなのです。

箱の中をWebとして、箱から出ているヒゲが、APIやUIになります。
汎用的なテクノロジーのAPIを活用するWeb2.0
Web2.0においては、独自のテクノロジーを使って何かを開発するというよりも、選択した汎用的なテクノロジーを選択し、そのAPIを活用して開発するという手法が一般的です。LAMP(Linux+ Apache + MySQL +PHP)と呼ばれるオープンソース群の利用やマッシュアップと呼ばれる手法がそれです。そして、開発手法や構成要素で差別化できないことを補うように、リッチな操作感、つまりUIでの差別化を生むことを目指してAjaxのような手法も生まれることになるのです。
進化するAPIは、WWWサーバーとの通信相手をパソコンに限ることなく、携帯電話はおろか、ありとあらゆる電子機器からネット接続することを可能にしていきます。そしてそれに応じて進化するUIが、利用者である人間がネット化した機器を使いこなせるようにしていくわけです。UIとは、マウスとキーボードだけではなく、たとえば音声による操作や、視線の動きを補足する操作のように、対象となる機器によって細分化していきますし、最適化することになります。
以上のように、Webの技術のブラックボックス化はAPIとUIの進化とともに急速進み、しかもWeb2.0的と呼ばれるサービスであればなおさら、この傾向を深めていくのです。
次週へつづく