第74回 マイクロソフトがGoogleを恐れる理由 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
Web2.0とはなにか?

第74回 マイクロソフトがGoogleを恐れる理由 


2月10日の新聞記事によると、米国Yahoo!は、米国時間の2月8日に開かれた取締役会でマイクロソフトからの買収提案について協議したものの、結論を先送りにしたということです。Yahoo!にはGoogleからの提携提案や、複数のファンドからの買収提案も入ってきているとのことで、予断を許さない展開になってきました。


解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。



マイクロソフトとグーグルの収益モデルの比較 

マイクロソフトがなぜYahoo!を買収したいのか。何をそんなに怖がっているのか。4-5兆円もの許諾の資金をつぎ込んでまでYahoo!を買い、そしてGoogleに対抗しなければならない理由は何なのだろうか、それを考えてみましょう。トヨタが現時点でグーグルを怖がる必要はありません。それはビジネスモデルも業界も異なるからです。マイクロソフトがOSをはじめとするソフトウェアを売り続け、グーグルがネット広告の分野に居続けるだけであれば、両者の共存はできないのでしょうか?

Googleの売上はというと、最近多角化をし始めているにしても、ほぼ100%アドセンス|アドワーズによる広告事業によるものです。この両者のビジネスモデルの共通点を敢えて言うとすると、両者とも一つのテクノロジー基盤の上で微妙なバランスをとりながら、巨大ビジネスをまわしているということです。

ところが、その共通点をさらに分析してみると大きな違いが見えてきます。マイクロソフトの武器であるWindowsは、XP、Vista、モバイル用のCEなど、実は一つのソースではなく、分裂しています。Googleの武器である検索エンジンは、Googleが管理する巨大なデータセンター群におかれ、完全に統合された一つのテクノロジーです。マイクロソフトはこの分裂したユーザーの環境に合わせてソフトウェアを作り続けなくてはなりませんが、Googleにはそうした制約はありません。



Android、OpenSocial、Social Graph API


Googleからすると、OSなんてどうでもいい、という気分なのかもしれません。自分たちが情報を検索し、それらを効率よく行える環境を作り上げるために必要なことをしているだけ、といえるでしょう。マイクロソフトからすると、これが最も危険な思想に感じるはずです。なぜなら、GoogleがPCのうえでのOSやブラウザの環境の違いを無視するということは、コンピュータを使ううえでWindowsが不可欠であるという常識が覆るということだし、Googleがモバイルを含む多様なプラットフォームのオープン化を進めるということが、マイクロソフトの力の源泉を削いでいくことに直接つながっているからです。

これと同じように、GoogleはOSをパソコンにインストールしてアプリケーションを使うというコンピューティング環境ではなく、OSや機器に関係なくインターネットに接続してWebを使える環境を実現させたいと思っているだけなのです。しかし、マイクロソフトからすればそんなことをされたら自分たちが生きていけない。だからなんとかしてGoogleに対抗しようとするわけです。

ウィジェット化されたGoogle Talk。すべてのアプリがWeb化されていく 


マイクロソフトはGoogleに淘汰されてしまうか


ところが、ガミラス星人の侵略さえ跳ね返せば地球の環境変化を押しとどめることができるヤマトの世界とは違って、実はコンピューティングの世界はマイクロソフトの願いはどうあれ、既にOS不問の世界への移行、Webをプラットフォームとする環境変化は始まっており、もうそれを誰にも押しとどめることは不可能になっています。それに合わせた生態系が生まれ始めており、自らがフィットしない限り生き残ることはできません。それがWeb2.0のムーブメントであり、クラウド・コンピューティングの世界です。

マイクロソフトももちろんそれは承知しています。好むと好まざるとに関わらず、この現状に合わせるしかないのです。だからマイクロソフトもWindows Live!戦略の実行に取り組み始めていますが、なかなか新しい環境になじめずにいる。このままでは新しい環境にフィットする前にGoogleに淘汰されてしまうかもしれない。その恐怖がYahoo!の買収につながっているのです。

Yahoo!はマイクロソフトの足下をみているのか、買収額に不満ありとして、やや強気の交渉に入っています。Googleと組むのか、マイクロソフトにより高値で身売りするか、それとも単独でマイクロソフトとGoogleとの三国志状態を続けてみるか、どういう最終選択をするのかはわからりません。しかし、Yahoo!は「放射能化された地球」で生きることができる企業かもしれませんが、その環境下ではGoogleのほうがはるかに進化しており、生息する地域が重なりすぎているために、このままではGoogleに淘汰されてしまいます。だからなんらかの手を打たなくてはならないのです。



■今回のポイント
Google、マイクロソフト、Yahoo!の三国志はいよいよ佳境です。どのような戦略が講じられるのか、目を離せない状況になっています。マーケティングとは市場最適を目指すことではなく、ライバルとの直接対決に勝つための作戦行動です。

付録:http://www.modiphi.co.jp/download/finiped200801.pdf



次回をお楽しみに!!
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在