
第53回 フィードがWebに融合するとき
フィードリーダーは、Webサイトを構造的に作るためのエンジンと考えたらどうだろうかという点から今回は解説していきます。Web制作者に必要な考え方をご提案します。
解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)
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[プロフィール]
お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。
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フィードの普及の鍵
しかし、残念なことに、そして不思議なことに、フィードリーダーの市場シェアは、その便利さとは本当に裏腹に驚くほど低いのが現状です。正確な統計はありませんが、国内でみれば、インターネットユーザーのほんの十数パーセントの利用率でしかないようです。メールソフトが100%の普及であり、ブログユーザー(アクティブなブログ数)が1000万といわれ、SNSでもmixiが 単体で1000万人のユーザー、GREEも200万人に達したという状況と比べると、あまりにも低いといえるでしょう。やはりフィードといおうがRSSといおうが、どうしても技術色が強すぎて、なかなか一般的になりづらい、ということかもしれません。
ただ、この数字にはちょっとした裏があり、フィードリーダーそのものの利用者(すなわち、フィードあるいはRSSといった技術の存在を理解したうえで利用しているユーザー)はもう少し多いかもしれません。というのは、パーソナライズドポータル、と呼ばれる新しいサービス群は、ほぼ例外なく フィードリーダー機能を包含しており、ユーザーが好きなコンテンツを追加する際にはRSSを利用しているからです。パーソナライズドポータルとは、会員制サイトのユーザーが好きなようにレイアウトや表示するコンテンツを選択できるサービスで、日本語では個人ポータルともいいます。代表的なサービスはMy Yahoo!やiGoogle、マイクロソフトのLive.comなどです。
また、IE7などの最新ブラウザも例外なくRSS対応をしています。つまり、無意識にフィードを購読しているユーザーは意外と多いのです。まだ使っていないとしても、潜在的なユーザーは増える一方であるといえます。
フィードリーダーが普及することは難しいのかもしれませんが、フィードの利用そのものはコンテンツ流通のインフラとして広まっていくはずです。
RSS, Inside
米国最大の新聞社であるといえるのはNewYork Timesですが、同社はオンライン事業へのシフトを加速させています。同社もまた、パーソナライズドポータルを提供し始めています。My Times.comというサービスですが、これまでは会員を限定した状態での試験運用をしていました。そのMy Times.com が8月23日にベータ版を一般公開したのです。
リロードをしてみると分かるのですが、すべての記事の表示前にRSSマークが瞬間的に見えます。すべての記事がRSSフィードで提供されているわけです。つまり、これはiGoogleやMy Yahoo!同様に、フィードリーダーの機能を使っているWebサイトなのです。外部のフィードも登録できるので、フィードリーダーそのものであるとも言っていいと思いますが、逆にフィードリーダーといわないところがミソなのだと考えます。

My Times.comとは、フィードリーダーを作るための仕組みを使って作られた新聞サイトです。フィードリーダーなのですが、そうといわないところが普及の鍵、なのです。たとえば数年前からブログをブログとして使うのではなく、 ブログの性質を応用したWebサイトを作ることがよく見られるようになっています。ブログとはいわないブログ。そんなサイトが増えているのです。
RSSを使っている、でもそれを敢えて前には出さない、そんな試みが始まっています。
インタラクティブなWebサイト作りへ
シックスアパートが提供しているブログ管理ツール MovableTypeは、最近バージョンアップして、ブログの性質をもった より構造的なWebサイトを作るためのCMSになりました。同様にフィードの配信や効率的な受信機能を包含したサイトが今後次々と登場し、そしてそんな高機能なサイトをカンタンに作るための仕組みが必要になってくると思います。
フィードリーダーの性質をもった構造的かつ真にインタラクティブなWebサイ トを作るための仕組みが必要なのです。
Web全体をより構造化させるためのエンジンとしてフィードを生成し、閲覧させるための機能をもつWebサイト。それこそがWeb2.0の中心となるはずです。
フィードはメール、Webにつづく第三のメディアですが、単独で存在できるわけでもないのです。フィードはWebやメールと共棲し、インターネット全体を活性化させることで存在価値を示すメディアなのです。
■今回のポイント
フィードリーダーを、Webサイトを構造的に作るためのエンジンと考えたらいかがでしょうか。HTML+RSS+CSS。それがこれからのWeb制作者に必要な考え方だと思います。表現方法をFLASHにするか、AJaxにするかは二次的な問題でしょう。
次回をお楽しみに!!