
第64回 Web2.0 EXPOにむけて - その4
mixiのPV数がついに、PCのそれを携帯電話からのアクセスが上回ったそうです。ところが米国のFacebookやMySpaceなどではケータイでの利用が驚くほど少ないのが現状です。これはどうしてなのでしょうか。
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[プロフィール] お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。 |
日米のインターネット事業の相違
・テクノロジーベンチャーが多いこと
・設立当初からグローバルマーケット志向であること
・モバイルサービスのベンチャーが少ないこと
この3つが顕著なようにみえます。
まず、逆に日本のWeb2.0系のサービスをみてみると、基本的には技術寄りのベンチャーよりはサービスサイド、つまりコミュニティ運営やEコマース、あるいは米国サービスのクローンのようなビジネスモデル重視型のベンチャーが多いことが分かります。これは、米国側がExit(起業目的とゴール)をIPOではなく、Googleなどの先行する巨大ネット企業にバイアウトすることを狙うケースが多いため、ビジネスモデルではなくてキラリと光るテクノロジーや製品を持っていることのほうが有利であるからかもしれません。
反対に、日本ではやはりIPOを目標とする投資による起業が多いために、収益確保を急ぐがゆえのビジネスモデル重視に走っているといえるかもしれません。ただし、この状況もだいぶ米国型に近づいているといえますが。
次のグローバル志向、ですが、これはやはり言語の壁ともいえるかもしれません。英語でサービスを提供すれば米国だけではなく、イギリスやオーストラリアなどの英語圏はもちろん、世界各国で使用される可能性が高く、世界的に見ればローカル言語にすぎない日本語は不利であるといえます。しかし、それでも、米国ベンチャーの多くは最初からグローバルマーケットを意識したサービス作りをしている事実は彼らの志の高さを示しているという気がしています。
最後に、モバイルサービスが米国においては目立ったものがない、ということについては、日本のほうが米国の先を行っているという数少ない点かもしれません。ただ、以前にも述べたかもしれませんが、日本のモバイルインターネット市場は世界的に見ると特殊であり、現時点では鎖国状態にある、あるいは大海から孤絶された小さな島に繁栄している生態系であるのかもしれないのです。
2007年は米国モバイルインターネット市場が大きく舵取りした年

iPhone - Apple公式サイトより
1つはiPhoneの登場です。iPhoneはスマートフォンというカテゴリ(米国ではBlackberryが有名)に属するもので、それまではビジネスパーソン御用達のように扱われていた分野なわけですが、その美しいデザインと卓抜な操作性でコンシューマープロダクトとして受け入れられました。日本ではスマートフォンはまだまだ市場も小さく、好事家向けの商品ですが、iPhoneが日本に入ってくれば必ず新しい市場を切り開くでしょう。日本の一般的なケータイとはまったく異なる操作感ながら、多くの若年ユーザーが飛びつくことと思われます。
ただ、iPhoneが日米のインターネット事情にもたらすインパクトは、iPhoneがケータイでありながら、そこでブラウズされるWebは、日本のケータイのそれではなく、ほぼ完全にPCのWebであるからです。「ほぼ」とここでいうのは、まだiPhoneのSafariがFLASHやiフレームなどに対応していないなどの制限があるため、サービサー側がiPhone専用ページ作成などの対応をしはじめているためです。
つまり、米国においてはケータイでWebを使う、というユーザー体験はPC上で行われるそれと同じ、ということになります。iPhoneによる変革の兆しについては、別の機会に書きたいと思います。
さて、もう1つは、Googleが発表したAndroidです。
これはさまざまな携帯情報端末(ケータイだけではなく、PDAなども含む)上で共有できるアプリケーションを構築できるプラットフォームであり、OSの一種と行ってもいいかもしれません。あるいはOSの上に置かれる共通APIであるともいえるでしょう。携帯情報端末を動作させるのに必要なOS、ミドルウェア、インターフェイスとアプリケーションをまとめたソフトウェアスタックなのです。
この詳細についても別途深堀する機会を作るつもりですので、ここではカンタンに触れるにとどめますが、要はAppleというOSとハードのメーカーとGoogleというネット専業企業が、別のロジックとベクトルからモバイルインターネットビジネスに踏み込んできている、ということです。また、日本に比べて遅れていたモバイル上のWebの活用が、両社の動きをもって大きく進歩した、一気にコンシューマーの領域になり、日米の差異を縮め始めたということです。しかも、彼らが持ち込んできたWebとはPCのそれであり、日本のように特殊なネットワークではないのです。
この違いは、われわれが想像するより遥かに大きく、2010年ころには日本のケータイユーザーのあり方は激変している、と予測しておきましょう。

Web2.0EXPO開催はいよいよ今週です。Googleもいないし、iPhoneもないカンファレンスですが、それだけの価値のある場ですよ。
次回をお楽しみに!!





