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Web2.0とはなにか?

第30回 Web2.0的ビジネスの考察-1

今回から、Web2.0時代に登場すると思われる新しいビジネスモデルを考察します。前回のコラムではWeb2.0は儲からない、と考えること自体がナンセンスだと書きましたが、その理由を深掘りしていくことになると思います。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

アップルに端を発するネット家電ビジネス戦争

アップルはOSに依存しない、いや正確には、依存してはいるがMacでもWinでも問わない環境で動くiTunes(ソフトウェア)に、オンライン音楽ダウンロードサービスiTMS(インターネットサービス)、そしてiPodというお化け商品(ハードウェア)という組み合わせで、新しいエコシステム(生態系のこと)を作り上げています。このエコシステムこそ、日本のソニーあたりが本当はやりたかったモデルであるといえます。ソニーのパソコンシリーズであるVAIO(バイオ)が有機的な生命を意味するBIO(バイオ)からとられていることからもそれは明白です。

アップルは、更に.mac(ドットマック)というWebメール、インスタントメッセンジャー(iChat)、オンラインデータストレージ、ホームページ作成機能、携帯電話ともスケジュールの同期ができるシンク機能(iSync)など、ネット利用に不可欠と思われる優れたサービスを、統一感のあるインターフェイスでまとめあわせて提供しています。すべて自社のサービスでありながら、ある意味マッシュアップ的な見事な戦略を示しているといえます。また、2007年1月に発表したiPhoneをもって、さらにアップルはこの戦略を促進していくことと思われます。

iTMSは、2005年にビデオ配信を始めています。米国では既にテレビ番組や映画の配信を始めています。

これはまさしく、ありとあらゆる家電メーカーが夢見てきた、インターネット家電への道筋が見えてきたことを意味しているのと思います。日本メーカーが望んでもできなかったことを、パソコンメーカーであるアップルが部分的にではありますが、いち早く成し遂げたことによって、ネット家電市場の形成を、世界中のメーカーが真剣に考えはじめているのではないでしょうか。

iPhoneのインタフェース
iPhoneのインタフェース

家電2.0は実現するか?

iPhoneを見ていると、Webブラウザーを搭載し、冷蔵されている食品の中身に応じて、調理可能なレシピを表示するハイテク冷蔵庫の実現はいかにもありそうな気がします。あるいは、家人が誰もいないときに自宅のドアノブが回転すると自動的に警備会社に連絡するとともに、自分の携帯電話に電話をかける、といったハイテク家屋のようなものも、想定内にあると思います。

冷蔵庫の例でいえば、日立やLG、サムソンのような家電メーカーと、京都の有名料亭が事業提携するようなこともあるかもしれません。つまり、機器提供側と、コンテンツホルダー側の異業種連携は十分ありえるのです

要するに、Web2.0がもたらす本当のインパクトとは、ありとあらゆるWeb2.0的サービスが「Webこそがプラットフォーム」であるという認識に立って開発されることなのです。それは、ウィンドウズやMac OSなどのパソコン上のアーキテクチャの差異だけではなく、さまざまな機器の差異を超越した瞬間であるといってもいいでしょう。いいかえれば、Webを使っている参加者の数が多いということは市場が大きいことを示し、Webの利用者がいることを前提に家電などの商品の設計をしても引き合うという事実です。


■今回のポイント

Web2.0時代にフィットする事業モデルは、必ずしもインターネットビジネスであるわけではありません。ハードウェアや、アナログ的なサービスを展開している企業がWebを活用することによって、より大きなビジネスチャンスを勝ち取ることができるかもしれないのです。そこに着目することによって、Webデザインや設計に携わるひとにもまた、これまでとは異なるビジネスを生み出すヒントが生まれるでしょう。

次回をお楽しみに!!
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