
第35回 ポータルビジネスの終焉-2
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[プロフィール] お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。 |
ポータルのビジネスモデルの再考
さて、ポータルサイトの収益源は、原則としてバナーを中心とした広告収入となります。説明するまでもないでしょうが、Yahoo!、MSN、エキサイトなどがそうしたサービスの典型的なサイトになります。
これまでにも説明してきましたが、インターネットの利用が普及し、ネット上で提供されるサービスが多様化してくると、ポータルは単なる通り道に過ぎず、ユーザーがもっとも多くの時間を費やすさまざまなサイト、いわゆるデスティネーションサイトと呼ばれるサイトの存在こそが重要であるという考え方が生まれてきます。広告収入を最大化するためには、できるだけ多くのユーザーに見てもらうと同時に、できるだけ長い時間、サイト内に留まってもらわなければならない、という認識です。
こうなると、ポータルサイト達は、単にWebの入り口として多くのトラフィックをデスティネーションサイト達に流しているだけの役割は、実は割にあわないと考え始めるわけです。そこで、自らポータルであると同時にデスティネーションであろうとします。
こうして、ポータルはさまざまなデスティネーションサイトのサービスを模倣して自ら同じようなサービスをサイト内に構築し始めます。真似しても競争に勝てないとみるや、有力なデスティネーションサイトを買収にかかります。このようにして、自らを肥大化し、他のサイトへトラフィックを流すのではなく、自社サイト内にトラフィックを滞留させることに躍起になるのです。
垂直型ポータルの登場
しかし、実際には、いくら広い建物に多くの店舗を置いたとしても、物理的な限界があり、顧客の嗜好の多様化に必ずしも対応できず、結果として顧客はデニムはどこ、スーツはあそこ、というように専門店に流れ、結局完全な囲い込みは不可能です。ネットの世界でも、検索エンジンの高性能化によってネット上で探せないサービスはなく、ポータルサイトの語源である、トップページを通る必要さえなくなっています。
そこで総合化をあきらめるポータルもまた生まれてきます。たとえば丸井や109が若者、あるいは若い女性への絞り込みを徹底することによって生き残りを図るのであれば、ポータルサイトのいくつかも、より狭い範囲での情報に特化した、ターゲットを絞り込んだサービスに変貌することを選択します。いわゆるバーチカルポータル(垂直型ポータル)です。
検索サイトのいくつかも、Googleと真っ向から戦うのではなく、旅行情報専門の検索とか、特売情報の検索だけ、というようなフォーカスの利いたサービスを提供するところもでてきています。例としては、「www.qunar.com」や「www.like.com」などがあります。
分散型トラフィックへのシフトは止まらない
筆者は、Googleのドル箱であるアドセンスは、この分散型トラフィックとして存在する無数の中小サイトに寄生する形で存在するミニサイトといえると考えています。
ロングテールを活用して多くの利益を上げられるかどうかは別として、インターネットのトラフィックのロングテール化は止められないでしょう。Googleがこのまま一人勝ちするのか、それとも新しいパラダイムにフィットした新世代サービスが生まれてくるのか。2007年から2010年くらいの間に、その答えは見られることでしょう。





