第48回 セカンドライフ よもやま話 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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Web2.0とはなにか?

第48回 セカンドライフ よもやま話

今回は、いま話題のセカンドライフの話をしましょう。3DインターネットはWeb2.0の典型のように話されることが多いのですが、必ずしもそういうわけではないように思います。この点を考察していこうと思います。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

セカンドライフ とモバゲータウン

最近のインターネットサービスの潮流のは、大きく分けて3つの流行があると思います。ひとつはGoogleに代表される従来型のインターネットであり、テキストベースのトラフィックです。mixiなどのSNSもこの流れです。2つめはケータイ上のモバイルインターネットです。いま話題になっているモバゲータウンを思い浮かべればよいでしょう。そして、3つ目がセカンドライフに代表されるセカンドライフです。

セカンドライフは、その性格からすればSNSに近いものといってもいいでしょう。MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略)と非常に似ていますが、ゲームとはいっても明確なストーリーがなく、参加ユーザー個人の、あるいは同士の関係性の中での自然発生的なハプニングの連続でしかありません。ドラゴンや騎士、妖精が出てきたとしても、彼らは何らかの役割を果たすわけではないのです。「3D-SNS」とでも呼べばよいのかもしれません。

サービス利用料をとっているセカンドライフですが、やはり最大の収益源は広告になります。バナー広告を出す代わりに、3Dの仮想社会の中でビルボードを出したり、動きのある広告、たとえばリアル店舗をなぞらえた仮想店舗を出したりすることになります。そうした出展料は形を変えた広告料であり、セカンドライフのビジネスを支えるものとなります。

そして、ケータイ上に最近大ブームを起こしているモバゲータウンは、2つめのモバイルインターネットの代表です。ビジネスモデル的には、従来のやり方と新しいやり方が混在し、とてもユニークな存在です。モバゲーは、携帯電話上で使える無料のゲームのダウンロードサービスとSNSの組み合わせです。彼らのビジネスモデルを分析すると以下のようになります。

・主たるターゲット:中高生中心
・主たる収益源:広告
・その他:いわゆる公式サイトではない

まずターゲットですが、この点においてはモバゲーは従来のモバイルネットサービスと同じです。モバゲーのみならず、現在大きな収益を上げているモバイルネットサービスの会社は、ほぼ間違いなくこの中高生のアクセスを収益に変えています。

次の収益源ですが、着うた/着うたフルや画像、動画、ゲームなどの有料コンテンツの販売によるものが多かったわけですが、モバゲーは広告に依存する途を選びました。また、その結果、公式サイトではなく、いわゆる勝手サイトとして存在しています。彼らのビジネスは、キャリア主導のモバイルビジネスを根底から変えていく可能性があります。

最近ではGoogleやYahoo!がモバイルコンテンツの検索サービスを本格的に開始しており、公式サイトと非公式な勝手サイトとのトラフィックの差を大きく縮める原動力にもなっています。だから、今後、PC上のインターネットビジネスとケータイ上の、モバイルネットビジネスのあり方は、ほとんど変わりなくなっていくことでしょう。

セカンドライフとモバゲーは、いろいろと類似している点があります。たとえば、両者ともアバターを使って、自分の仮想人格をネット上に置くことによって遊びます。両者とも広告収益を主力としています。両者ともゲーム性を持ち、そしてSNS的でもあります。違うのは、主戦場をPC上にしているかケータイ上にしているか。そして、3Dか否かです。
図1セカンドライフ
図2 モバゲータウン

セカンドライフはWeb2.0か?

セカンドライフは、目新しさからWeb2.0の代表のように語られることが多くなってきました。しかし、実際にはWeb1.0、というより、1999年から2000年頃(ITバブル時期)にブロードバンドが取沙汰されるようになったおりに発生した、3Dの仮想社会サービスの焼き直しであるように思えます。ビジネスモデル的にもサービス自体もほぼ同様です。まして、サービスを利用するためにソフトウエアをダウンロードしなければならないというのは、制約が大きいです。そして、Macユーザーを無視し続けるのもどうかと思います。プラットフォームをPC、そしてWindowsに依存するのは2.0的とは呼べないのではないでしょうか。

ただセカンドライフがITバブルの頃のサービス群と違うのは、参加者にプログラミングの知識があれば、セカンドライフの仮想社会の中に「自分で作ったコンテンツを置くことができる」ということです。従来の3D型サービスにおいても、用意されたオプションの中から何かしらのカスタマイズ、パーソナライズを行うことはできましたが、セカンドライフでは「無から新しい何か」、たとえば「自分だけのオリジナルの車を作る」とか、「購入した島の風景や街並みを作ってしまう」などの行為が可能になっています。

まだまだこのクリエイティブな参加手段には相当難易度の高いスキルが必要とされ、一般のユーザーからするとかなりハードルが高いのは問題ですが、それでも「参加するWeb」という観点からすれば2.0的要素を持っているわけです。

しかしながら、セカンドライフでは、そのなかにあるコンテンツや情報をGoogleなどの検索エンジンで検索することはできず、情報の共有化、流通は限定された範囲でしか発生しません。つまりオープンデータではなく、一昔前のAOLやニフティサーブなどと同じ、ただ表現がリッチ化しただけという印象が否めません。

Web2.0はWeb上の環境変化であり、現在のWebはすべからく「Web2.0」です。したがってセカンドライフもWeb2.0世界の住人ではありますが、モデル的にはまだまだ1.0の延長線上である気が筆者はしています。


■今回のポイント

セカンドライフは世界で数百万人を集める話題のネットサービスですが、事業として本当に今後成立するのかは微妙であると考えています。人間の社会的行動をすべてバーチャルの世界に置き換えたとしても、われわれの生活そのものがよくなるわけではありません。リアルの社会に対してどのように作用できるかを考えない限り、この試みはやがては終焉を迎えると思います。次回はモバゲータウンに焦点をあて、モバイルインターネットにおける変化の方を見てみましょう。

次回をお楽しみに!!
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