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Web2.0とはなにか?

第58回 ネットビジネスも”iPod”を目指せ 後編


iPod touchを入手したひとも多くなってきたようです。Windowsユーザーにとっては嬉しくないバグが出ているようですが(苦笑)。iPodとはいったいなにか、今日はもう一度検証してみましょう。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。



検索エンジンを事業にすることに成功したGoogle


検索エンジンという技術はWebの黎明期から存在しています。基本的な考え方は単純で、Web上のファイルをいったんクローリングして、コンテンツをすべてファイルサーバーに貯めます。そして、そのコンテンツを後でキーワードで検索しやすいような形にして整理します。これを「インデッキシング」、「インデックス化」と言います。インデックス化するための考え方には大雑把に言って2つあり、形態素解析とNグラムといいますが、ここではその説明を割愛させて頂きます。

その後は、定期的にWeb上をクローリングしては、更新された情報だけを取り出して、またインデックス化するわけです。

つまり、検索エンジンを使って検索する、ということは、いちいちWeb上を探しまわるのではなく、インデックス化されたファイルサーバーの中からキーワードに対して適当なコンテンツを探し出しているということなのです。適当な検索結果を導きだすための、また、その順番を決めるための考え方を検索アルゴリズムといいます。有名なGoogleのページランクも、その一つです。

いまでこそインターネットビジネスの花形である検索エンジンですが、Google登場以前は、幾多の検索エンジンベンチャーが事業化に挑戦しては失速し、次から次へと市場からの撤退を余儀なくされており、結果として検索エンジンはポータルビジネスの単なるおまけの扱いでした。オーバーチュアが検索結果の表示順位に対するスポンサーシップを募るというモデル編み出したことで、そこにヒントを得たGoogleが検索結果連動広告を開始するまで、検索エンジンがビジネスになるとはとても考えられなかったのです。

つまり、Googleは、まず検索エンジンという技術をリファインし、誰よりも優れたモノにブラッシュアップしました。そして、その技術にこだわり抜き、事業化するための方策を見つけ出したのです。

ちなみに、ノルウェーのFASTという検索エンジンベンチャーは、Web上での検索サービスを捨て、企業向けのサイト検索やイントラネット検索に活路を見出しました。



MP3とMP3音楽プレイヤーを事業化したiPod+iTunes


前回のエントリーでも書いたように、MP3という技術もまた、検索エンジンと同様に、金になるテクノロジーとは到底思えない時代が続きました。RioなどのベンチャーがMP3音楽プレイヤーをリリースしても、非常に狭い、限られたコンピュータユーザーの一部にしか届かない商品でした。MP3は、音楽を鑑賞するに足る音質を保ちつつ、ネットや各種のメディアで流通させることができるレベルにまで圧縮するための技術です。iTunes以前の、SoundJamのようなPC上でのMP3再生ソフトがあるにしても、音楽はPCで聞くよりもCDプレイヤーや、それこそウォークマンのような携帯音楽プレイヤーがあるわけで、結局MP3は使われるにしても、音楽ファンにとってみれば、やはり”おまけ”の存在に過ぎなかったのです。

この状況を変えたのがiTunesとiPodです。Googleと少し異なるのは、Goolgeが検索エンジンという技術にこだわり抜いたことに対して、AppleはMP3という技術にこだわったわけではない、ということです。Googleはテクノロジーを磨き抜き、その過程で適切なビジネスモデルにたどり着きました。Appleは逆に音楽プレイヤーという事業モデルを成功させるためにiPodを必要とし、そして単にそこにあった技術としてMP3を使っています。ただし、Appeが採用しているのは実はMP3ではなく、AACという別の圧縮技術ですが、ここでいうMP3は音楽圧縮技術の総称として使っています。



RSSの事業化に成功するのは?


さて、ここまでの話に、Webに関する記述は一切ありませんでした。Web2.0の話はどこにいったのか、と思われる読者も多いかと思いますが、詳しい話は後編に譲ります。
ここで触れておきたいことは、MP3とRSSが非常に似た境遇にあるテクノロジーであるということです。XMLを用いて、主にテキストを中心としたコンテンツを配信するためのWebサービス、それがRSSです。MP3は数多のチープなMP3プレイヤーに失望させられ続けながら、ついにiPodおよびiTunes という最高のパートナーを得ることによって、素晴らしい結婚を果たし、そして世界中へと広がっていきます。

RSSは、Blogというパートナーを得て世界中に広まりましたが、残念ながらいまだに利用状況は黒子のままであり、その機能を十分に使われているとは言えない状況です。Web2.0は何度も繰り返していますが、RSSの有効活用が真に為されて初めて次のステージにいけると考えています。そのためには MP3がiPodに出会えて花開いたように、RSSもまた、大きく花開くために”iPod”が、最高のパートナーが必要です。これまでの、いわゆるRSSリーダーはiPodではなく従来のMP3プレイヤーのようなものです。RSSにとってのiPod、それを見つけたときに、Web は次のステージに向かうでしょう。



RSSの事業化に成功するのは?


RSSは、技術としては検索エンジンのようなものではなく、MP3に近いものです。Web上のコンテンツの更新状態を知るための技術としては、検索エンジンの重要な技術要素であるクローリングがありますが、RSSはWeb上の更新情報を自発的に、かつ時系列順に告知するための技術です。RSSには周知のようにいくつかのバージョン(主たるバージョンは1.0系と2.0系。その他にAtomやSSEなどがある)があります。それら全部をひっくるめて、Feed、と呼ぶことがありますが、ネット配信用の音楽圧縮技術にも複数があるのに一般にはすべてMP3と呼ばれるのと同様に、RSSがそれらの総称として呼ばれることが多いのです。だからRSSを収集して閲覧するためのツールを正しくはFeedリーダーと呼ぶべきなのですが、一般的にはRSSリーダーのほうがよく使われているのです。

RSSはMP3同様に、コンテンツをネット上で配信するために用いられています。MP3がそうであったようにRSSもまた、”金になる技術”と思われる前から普及はしています。検索エンジンがポータルのおまけであったように、RSSはブログのおまけとして扱われています。

実際、RSSリーダーを事業としようとした企業はいくつかありましたが、米国ではことごとく失速しています。たとえば老舗であるBloglinesはAsk.comに買収され(そのAsk.comも買収されてしまっているわけですが)、Web2.0的な機能を多く盛り込み期待を集めたRojoもSix Apartの傘下となっています。また、RSSの配信代行企業のFeedBurnerは最近Googleに買収されてしまいました。

Bloglines.com
Rojo.com

Googleが検索エンジンというテクノロジーにこだわり抜いたように、誰かがRSSリーダーもしくはRSSという技術にこだわり抜き、素晴らしい製品やサービスを作ったうえで、最適なビジネスモデルにたどり着く可能性はある、と思います。

Googleの例で言えば、いままでのすべてのRSSリーダーを遥かに超える素晴らしいRSSリーダーを作ってくれるかもしれない。そして、それを事業にすることに成功するかもしれません。また、Appleの例で言えば、広告やECなどの事業モデルの革新を目指す過程で、RSSの可能性を最大限に生かしてくれるかもしれません。いずれにしても、Webを現在作り上げているHTMLは検索エンジンにあまりにも依存しており、ある種の”金属疲労”状態です。Web自体が今後大きく進化するにはRSSがキーになってくるはずです。

誰が、それを成し遂げるのか。

必ず、RSSの事業化を成立させる"Google"あるいは"Apple"が近い将来出現することでしょう。



■今回のポイント
Ajaxもまた、JavaScriptを中心とする古くて新しい技術です。Webには、正しい利用方法と創造力豊かな起業家をまっているテクノロジーやビジネスモデルがまだまだ多く眠っています。


次回をお楽しみに!!
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