第28回 ベンチャー起業手法について | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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Web2.0とはなにか?

第28回 ベンチャー起業手法について

今回は、起業についての新しい手法であるEIRについて解説してみましょう。EIRとは、比較的経験豊かなビジネスパーソンが起業する際に有効となる仕組みであり、昨今注目されつつあります。いわばWeb2.0時代の起業スタイルであり、起業2.0の典型的な手法といえるでしょう。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

二つの意味を持つEIR

EIRとは、Entrepreneur In Residence(アントレプレナー・イン・レジデンス)と、Executive In Residence(エグゼクティブ・イン・レジデンス)という二つの意味を持つ略称ですが、一般的には前者、すなわちEntrepreneur In Residenceのことを指していることが多いようです。

いずれにしても、EIRは、ビジネスパーソンが起業する場合の、新しい選択肢として今後注目されるべき手法の一つであり、覚えておいて損はありません。日本ではまだ馴染みがないですが、米国シリコンバレーでは、わりと見られるものです。

どちらの略称においても共通しているIn Residenceとは、文字通り「住み込み」ということであり、Entrepreneur(起業家)あるいはExecutive(エグゼクティブ)が、起業の中に住み込みで働いている状態を意味します。もちろんオフィスに住んでいるという意味ではなく、一つの企業の中に籍を置く、という意味になります。

Entrepreneur In Residenceとは?

まずEntrepreneur In Residenceの意味を詳しく解説しましょう。
日本語では、客員起業制度と訳される場合がありますが、起業家がまず特定の企業に正社員もしくは契約社員として入社し、その企業の中で起業準備をするというものです。

起業家からすると、起業するまでの間は給料を勤務先の企業からもらうことができるので、起業準備中の生活の心配をすることなく、事業立案に集中することができます。

この場合のEIRは、むしろ社内ベンチャー制度に近いともいえます。社内ベンチャー制度は通常、企業がビジネスプランを持つ社員に新規事業を興させ、それを子会社として法人化した際に、社員を経営者に任ずることになります。この場合、社員にはインセンティブとしてストックオプションなどの成功報酬を約束するのが普通です。

Executive In Residenceとは?

対して、Executive In Residenceの場合は、主に経営経験者、つまり文字通りのエグゼクティブをまず招聘することから始まります。エグゼクティブ本人になんらかのビジネスプランがなくても構いません。経営能力があればいいのです。

そして、社内あるいは社外から有望なビジネスプランや、事業そのものを見いだしたときに、ストックオプションなどの報酬制度を与えた上でその経営にあたらせる、というスキームがこの場合のEIRです。

前者、つまり客員起業としてのEIRがビジネスプラン+起業家という組み合わせであるのに対し、後者のEIRは起業家というよりは企業家、つまり経営者候補として予め人材を確保する、という考え方であると言えるでしょう。

EIRは起業家と企業の双方にメリット

現在の主力事業での事業拡大が難しいと思われたり、新しい市場への進出を考えるときに、たとえ大企業であっても、意外に社内にそうした任にふさわしい人材はいないものです。資金面や人事や総務、あるいは開発スタッフなどのリソースがあっても、リスクを進んでとり、新たな事業モデルを創りだすアイデアを持つ起業家や経験者を、外部から取り込むというプランは、企業側にもメリットがあるはずです。単なる中途採用ではなく、予め子会社の社長の椅子を用意されるのですから、人材は集めやすくなりますし、優れた人物をフィルタリングしやすいというものです。

Web2.0時代は情報の粒度がさらに細小化していく傾向にあり、よりコンパクトでアジルな企業にチャンスが大きいと言えます。EIRは、既存の企業が勇気ある起業家を取り込みながら、あらたな成長チャンスをつかまえるためには非常に有効な手段となるはずです。
EIRのメリットとデメリット
EIRのメリットとデメリット

■今回のポイント

 あなたがもし起業をしたいと思うのであれば、EIRを利用するのは良い選択の一つです。また、逆にあなたが経営者であるならば、優れた人材を確保し、事業を拡大していくために、検討するべき制度の一つであると思います。Web2.0時代にフィットするには、Web2.0型の組織や人材が必要なのですから。

次回をお楽しみに!!
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