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第75回 ネットワーク依存を増すハードウェア-MacBook AirのWeb2.0的レビュー

2026.5.3 SUN

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Web2.0とはなにか?

第75回 ネットワーク依存を増すハードウェア-MacBook AirのWeb2.0的レビュー


皆さんはMacBook Airを購入されましたか? あるいは購入検討をしていますか? MacBook AirはWeb2.0あるいはその先に見え隠れする新しいコンピューティングの世界を、ほんの少し先取りした新しいマシンです。今回は他とはちょっと違う角度でレビューをしてみます。


解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。



美しい筐体と最新テクノロジー、でもロースペックなパソコン 

2月12日。筆者の手元にようやく届いたMacBook Air(写真)。USキーボードにしているせいなのか、それともソリッドステートドライブ(SSD)にしたせいなのかはわかりませんが、発表と同時にオーダーをしたわりに、周囲の購入ユーザーと比べると数日の遅れになりました。

これまで購入したMacシリーズやiPodなどのパッケージも非常に美しいものでしたが、今回のMacBook Airはさらにコンパクトで製品の魅力をさらに伝えることに成功していました。ボックスはこれまでのようにアタッシェケース型の開け方ではなく、弁当箱のように上蓋をすっぽりと外すタイプです。上蓋を外すと、そこには見慣れた発砲スチロールではなく、銀色のMacBook Airがそのまま現れるのです。この作りは、MacBook Airの美観を強調すると同時に、余計な緩衝材を極力使わず環境に配慮したものなのでしょう。


MacBook Airは1.36キロですが、他の日本のサブノートから比べれば、実際にはそれほど驚くほどの軽さではありません。しかし、質感の高さと圧倒的な薄さ、そして、持ったときにヒヤっとするほどの冷たさが、実際よりはるかに軽く感じさせることに成功しています。薄いボディゆえのキータッチに不安を持つ人も多いかと思いますが、実際には十分なストロークの深さを確保していて、スムーズなタイピングが可能です。

SSDについては賛否両論で、64GBの容量はいまとなってはかなり少なく、メインマシンに使うには不安が多い、というのは事実です。正直、メモリも2GB以上はつめず、バッテリも自力では交換できない仕様ですから、拡張性はない、と思った方がいいです。CPUも決して速くありません。ファイアワイヤーも廃止され、USBソケットはたった一つ。外部スピーカーもモノラルです。液晶の代わりにバックライトLEDディスプレイ、ハードディスクの代わりにSSDを採用するなど、最新のテクノロジーを使っているにも関わらず、パソコンとしては比較的ロースペックな製品であることは否定できないところです。


足りない、を補強するのは?


筆者はまだ、それほど多くのソフトウェアをインストールしていません。自分では滅多に使わないのですが、ビジネス上のデータのやりとりでどうしても必要な(苦笑)MS Officeと、プレゼンには欠かせないKeynoteを含むアップルのiWorks、それとMSNメッセンジャーとSkype。それだけです。IMとしてはSkypeは開発チームとのやりとりに使っていますが、実際のところMSNは滅多に立ち上げもしません。

筆者は日々の業務は、Google Appsを使っているし、最近ではPhotoshopやIllustratorも使わないので、これ以上のソフトをインストールすることは当分ないと思います。メッセンジャーも社内ではGoogle Talkのガジェット版が便利なので、それを常用しています。メールソフトも、Mac OS X標準装備のMailは非常に高機能ですが、Gmailでいつも仕事をしています。つまり、筆者の日常で、クライアントアプリはほとんど出番がないのです。

この状態なので、必要最低限のツールしかSSDにインストールしていないのですが、それでもいきなりSSD容量は26GBを切ってしまっています。64GBのストレージのうち、40GB近くは何もしなくても使われてしまっているわけです。

では、筆者がこの非力かつ狭量(笑)なマシンをメインマシンとしてどう使っているのかというと、以前から持っている.Macのネットストレージ(iDisk)が10GBあり、メール(mac.com)などを含み、既に5GB以上使っているため、残り5GB弱になった容量をまず当てにします。さらに、個人のGmailが6.4GB中残り2GB。オフィシャルに使っているGoogle Apps Premierの25.6GB中 残り24GB。
つまり、MacBook Air:64GB、iDisk : 10GB、Gmail: 6.4GB、Gmail(modiphi): 25.6GBで、トータル 106GBが筆者が持っているストレージ総量で、そのうち今後使える容量が、約56GB、なるわけです。

今後、買い替えない限りはしばらくMacBook AirのSSD容量は増えませんが、iDiskもGoogle Appsも、どんどん容量が増強される可能性が高く、実際Gmailは日々若干ながら増え続けています。要するに筆者は、ネットワーク上にデータを置くことで対処しているわけです。

さらにいうと、アップルは、MacBook Airと同時にTime Capsule というワイヤレスハードディスクドライブを発売しており、5TBで6万円弱という価格を実現しています。これはWi-Fiの無線LAN機能も有しており、自宅でもオフィスでも、Time Capsuleを使って作業中のMacやPCのデータを自動的にバックアップしておくことが可能です。


新たなデジタルハブ戦略の始まり


つまり、MacBook Airの使い方は、iPodに近いものになりつつある、と言えるでしょう。自宅やオフィスに置いたストレージにデータや通常使わないアプリはためておいて、必要ものだけをMacBook Airにはセーブしておく。もともとiMacがフロッピーディスクを廃止したときにも賛否両論があったものですが、インターネットを使ってデータはやりとりするべきだという考え方を先取りした英断であった、と言えます。MacBook Airは、インターネットやブルートゥースを使って、ワイヤレスでコミュニケートするという考え方に基づき、その近未来的なコンピューティングには不要になると思われるテクノロジーやインターフェイスを思い切ってカットオフしています。その割り切りがアップルを、世界で最も革新的なテクノロジー企業たらしめていると言えると思います。

アップルは、数年前にデジタルハブ構想を発表し、さまざまな電子機器やサービスの中核にMacがあり、Mac=パソコンがデジタルハブ(中心)になると宣言しました。しかし、いまではMacBook Airは一つのデジタルデバイスにすぎなくなりました。アップルにとってのハブはMac OS Xです。iPhone、iPod touch、MacBook Air & すべてのMac製品は、一つのOSで動いています。アップルが作るOSはMac OS Xです。これを彼らはシングルOS戦略と呼んでいますが、マイクロソフトがXP、Vista、CEなどと複数のOSの開発で苦しんでいることとは好対照です。

アップルはインターネット上にiDiskというストレージを置き、OS Xのファイル管理ツールの中にエイリアスが常に置かれていつでも再現できるようにしています。メールソフトであるMailもWebメール版があり、しかもAjax利用によりきわめてクライアントソフトに酷似したインターフェイスを実現していますが、近いうちに、Mac OS X自体がネット上に置かれ、いつでもどこでも、自分のデスクトップ環境を再現できるようになることはまず間違いない、と考えます。となると、ネットワークOS、もしくはWebOSとしてのMac OS Xが、新世界のデジタルハブになるはずです。

MacBook Airを使うということは、実はヘビーなユーザーであればあるほど、容量や速度の点で不自由を強いられることが多い、これまでのコンピューティングの考え方からすれば、相当使いづらいデバイスです。しかし、常にネットワークとの連携で使うということであればほとんど問題がありません。Webがプラットフォームである時代であることを考えると、MacBook Airの使い方は大きく変わってくるのです。もちろん、まだまだ過渡的な商品であることは否めませんが、真の意味のユビキタスコンピューティングに向けて、旧来の考え方を捨てて設計された、実験的なマシンであることは間違いないのです。



■今回のポイント
MacBook Airは、インターネットありきの世界のために設計された初めての実用機であると思います。ハードとネット、リアルとバーチャルの融合は今後非常に早い速度で実現されていくと思いますが、いち早くそれを形にすることに踏み出したアップルの英断はもっとたたえられるべきでしょう。



次回をお楽しみに!!
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