
第2回 XMLの普及とロングテール
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[プロフィール] おがわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。 |
XHTMLの普及やXMLフォーマットが
Web2.0を後押しする
Web(WWW=World Wide Web)は、物理的に接続された世界中のサーバーによるネットワーク、すなわちインターネットの上でスムーズにデータのやりとりをするために考案されたハイパーテキストシステムです。人間が読んで理解しやすいように、データそのものは主にHTML言語で記述され、それらの情報をやりとりするためのルールとして、原則的にHTTPというプロトコルが用いられています。
このプロトコルそのものには変わりはないのですが、Web1.0からWeb2.0への進化において最も大きな違いは、ブログの流行によるRSS/AtomFeedの利用拡大やAmazonに代表されるさまざまなWebサービスの普及によって、Web上で使われるXMLの量が急速に増えてきていることにあると思います。HTMLは人間の目で見たときに理解しやすい表現形式を持つ言語ですが、コンピューターにとっては非常に曖昧な言語です。一つの情報を記述するために複数の方法があるために、そのデータの中身をコンピューターが特定できないのです。
反対にXMLはプログラミング言語そのものですから、コンピューター同士では容易に理解できますが、ブラウザーで見てもコードを読めるプログラマー以外には何が書いてあるのか分かりません。しかし、最近ではXMLのルールに基づいた新しいHTMLであるXHTMLの普及やXMLフォーマットであるRSS/Atom Feedが登場しました。これらにより、書かれたデータを人間が読むためのツールであるFeedリーダー(RSSリーダー)が容易に入手できるようになったことから、徐々にXMLがWebの世界に入り込んできています。AmazonやアフィリエイトなどのWebサービスもXMLの普及に一役買っています。
XMLがWeb上に増えることによって、ネットワーク上でのデータのやり取りがスムーズになり、結果としてWebは徐々に構造的に進化します。つまり、Webにおける質的な変化とは、Web上のXML濃度があがってきていることと言っていいのです。
質的変化と量的変化の相乗効果で
Webが大きく変化する
質的変化と量的変化の相乗効果 この変化が誰の目から見ても明確になってきたのは2004年頃といわれています。これはブログの普及やブロードバンドの低価格化、またはGoogleの大成功によって、無料インターネットサービスと広告というビジネスモデルが成立したことなど、複数の条件が錯綜しながら顕現してきたものであるということができます。しかし、最もインパクトがあったのはロングテールと呼ばれる現象が発表されたことかもしれません。
ロングテールとは、Webの世界においては、いわゆる人気商品やサービスの売上よりも、それ以外の商品やサービスの売上総額が大きくなる傾向を意味します。これは、Amazon.comなどのEコマースサイトでの売上分布を調査した結果、売上の上位を占める商品の総額よりも、少数しか売れていない泡沫的な商品の売上の総額のほうが大きいという事実が判明したことに基づいています。この状態をグラフにしてみると、蛇が鎌首をたてている姿を横から見ているような形になります。

尾に当たる部分が非常に長くなっているので、ロングテールと呼ぶわけです。もともとマーケティングの経験則では、少数の上位で全体の大半を占めるという、いわゆる「20:80の法則」あるいは「パレートの法則」と呼ばれる現象がよく知られていますが、ロングテールはこれに対するアンチテーゼになっています。
このロングテールはWebのように物理的な場所の面積や距離の影響を受けない世界の特徴的な現象ですが、多様な嗜好を持つ多くの利用者がいて、さらにその多様性に対応するデータあるいは商品があって初めて成立します。つまり、Webのユーザー数とデータ量の増大という量的変化によって顕在化した現象なのです。
次週へつづく





