
第1回 Webを取り巻く現状
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[プロフィール] おがわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。 |
進化し始めたWeb
Webとはインターネット上で、情報を読み、書き、調べ、そして共有するためのシステムですが、このシステムがこの数年間に急速に進歩し始めていることに気づいたオライリー社が、その特徴をまとめてWeb 2.0 と名付けたわけです。
オライリー社に限らず、インターネット業界の有識者たちは、Webが90年代後半から、さまざまな理由によって急に進化のスピードを速めてきたことに注目し、それぞれ「Dynamic Web(動的なWeb)」や「Live Web(生きているWeb)」、あるいは「Read/Write Web(読み書きができるWeb)」といったさまざまな呼称をつけてきました。そうした動きの中で、なぜか最も多くの支持者を得た呼称がWeb 2.0であったといえます。
つまり、進化し始めたWebのことを、どう呼ぼうともその本質にはあまり大きな変わりはないのですが、結果的にWeb 2.0という呼び方が生き残ったわけです。進化が今後も進んでいく、2.0のその先には3.0や4.0も存在するかもしれない──将来的な期待感が、さまざまな呼び方の中から、Web 2.0が選ばれた大きな理由かもしれません。
Web 2.0と聞いて、それならばWeb 1.0はどんなものであったのだろう? と気になる方もいるかもしれません。それにお答えすると、Web 1.0も存在します。オライリー社は進化して新しくなったWebを次世代のWebという意味でWeb 2.0と呼び、それまでのWebの状態をWeb 1.0と呼んでいます。前述したWeb 2.0の他の呼称である「Dynamic Web」や「Live Web」に対して、「Static Web(静的なWeb)」という言葉がありますが、これはWeb 1.0と同義語であるといえます。
Webの質的変化×量的変化=Web 2.0
交通網というものは、より緻密につながっていないとなかなか利用しづらいものがあります。緻密なネットワークであることが、交通網の価値です。逆に、利用者が少ない過疎地域ではいつまで経っても交通網は発達しません。使う人がいてこそネットワークは存在できるのです。使われれば使われるほどシステムは発達できます。混雑すればそれを解消するための方法が考えだされますし、サービスの向上をしなければ利用者にそっぽを向かれてしまいます。
つまり、サービスが向上すれば利用者が増えるし、利用者が多ければサービスも向上していくわけです。言い換えれば、質的な変化と量的な変化が、一つの軸の両輪のような相互関係を持ちながら起きていくことこそ進化の道です。
これはWebにおいても同じことがいえます。Web 2.0とは、Webの質的変化と量的変化の結果生まれた、ネットワークとして緻密に進化したWebなのです。つまり、Web 2.0 とは、「Webの質的変化×量的変化」というかけ算の解であるともいえるのです。Webがこれまでと比べて、はるかに使いやすく、コストも安くなったことによって、ブログの普及やロングテールなどのさまざまな新しい現象が生まれています。これらすべてWebの質的変化と量的変化によって顕現化してきたものであると言えるのです。
次週へつづく





