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Web2.0とはなにか?

第69回 2007年のネット業界を総括してみる - 005


今年最後の更新となりました。今年のインターネット業界はWeb2.0の衝撃の余波であるともいえるエンタープライズ2.0と、facebookやmixiらのSNS事業者の勢力争い、そしてセカンドライフに代表されるメタバース、さらにモバイルインターネットの変革の予感など、さまざまな変化がありました。ただ、今回はそれらの華々しい話題とは別に、今後大きなムーブメントになりそうな、グリーンITについて考えていきます。今年最後のトピックとしてもっともふさわしいものであると思います。


解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。



2008年の戦略的技術&トレンドは「グリーンIT」 


調査会社のガートナーの発表によれば、今後3年間で企業活動に重大な影響をもたらす可能性のあるものを戦略的技術やトレンドと定義づけたうえで、2008年に最も重要な要素としてグリーンITをあげています。グリーンITとは文字通り地球に優しいIT、という意味ですが、具体的には地球温暖化を少しでも食い止めるための方策を講じていくということで、主にデータセンターやサーバーなどの省電力化を意味している場合が多いようです。

たとえばGoogleは、世界中のWeb上のデータを検索するために、巨大なインデックスサーバーを何万台と抱えており、膨大な電力を消費しています。電力を使うということは石油を含むさまざまなエネルギーを使うということであり、二酸化炭素(CO2)を大量に発生させるということになります。地球温暖化が必ずしも二酸化炭素の排出のせいであるかどうかは、本当のところは分かりません。それを否定する科学者もいるわけですが、ここではそれは本題でないのでこれ以上は触れません。いずれにしても、いままでであれば、消費した電力への対価を払うことで、何の問題も無かったわけですが、いまではどんな正当な理由があろうとお金を払っていようと、大量なCO2ガスを排出ことは基本的に悪であり(必要悪であっても)、反社会的な行為であるとみられるようになってきているわけです。

もちろん、人類が生きていくうえでエネルギー消費をしないではいられないので、使わない、のではなく、無駄なエネルギーは使わない、浪費しないようにする、という節約・倹約の態度が重要であるということです。




Googleら米国を中心としたIT企業は、複合的な対策を講じて2010年までに5400万トン(自動車にして1100万台分の排出量に相当)のCO2削減を行なうと発表しており、実際Googleもマウンテンビュー本社に、本社の電力需要の3割分を賄える太陽光発電設備を今年6月から導入していますし、電気自動車などの開発や既存の化石燃料=石油などを置き換える代替エネルギーへの投資も盛んに行なっています。

日本でも日立製作所などがCPUの発熱量を押さえることによってCO2発生量を削減する省エネ型サーバーの発表など、エコテクノロジーの追求とそのアピールは、IT業界における最大の関心亊になったといえるでしょう。

車の世界ではとっくの昔に起きたトレンドですが、ようやくITにも同じ波が到達したというところです。ただ、昔と違うのは、昔は(石油などの)エネルギーが枯渇するから、という理由で省エネを叫んでいたのに対して、いまでは仮にエネルギーがふんだんにあったとしてもなるべく浪費するな、というスタンスだということです。エネルギーを無駄に使えば、それだけCO2がでる。CO2がでると温暖化が進む。温暖化が進むと、地球の環境が激変し、結果としてあらゆる生態系がダメージを受ける、ということです。つまり、地球温暖化をストップさせる、という分かりやすい目標に、CO2を押さえる、という分かりやすい手段がセットになったことによって、このムーブメントは明確になりました。

ちなみに、原子力発電は基本的にCO2を出しません。なのでクリーンであると言ういい方をする人が多くなっていますが、CO2の代わりに核廃棄物を出しますね。


ベンチャー企業にできること


筆者は、最近自分自身の仕事の中でどうやってこのグリーンITに関われるか、ということを考えています。我々はハードウェアを製造していないし、巨大なデータセンターを使っているわけでもありません。もちろん省電力型のサーバーやサービスを使うことはできますが、もっと何かできないものかと考えます。
 
そこで、GREENER WEB(よりよい環境のWeb)を目指すために今の仕事をやり遂げよう、と改めて思うようになりました。クリーンなWeb、あるいはグリーンなWeb とは、我々の業界でいえばいわゆるセマンティックWebです。XMLで意味付けされた、非常に構造的なWebは、使う人に便利なだけでなく、Webを運用する上で効率的です。効率的であるということは無駄がないということです。であれば、利用者側からの省エネとなると思うわけです。必要な情報をカンタンに入手できたり、惑うことがなければサーバーにかける負荷も減るかもしれません。一足飛びにXMLのWebは創れない、ならばXMLを使った配信技術であるRSSをもっと普及させることでWebをキレイにしていこう、と考えています。マイクロフォーマットなどの取り組みもまた有益です。

われわれはわれわれのできることをこつこつと取り組んでいきます。読者の多くはWeb制作に関わっているのだと思いますが、使いやすいWebを文法的に正しく、美しいサービスを創りだしていくことによって、ユーザーの役に立ち、そしてGREENER WEBに関わっていくことを一緒に考えてくだされば、こんなにうれしいことはありません。グリーンITのムーブメントについても、斜に構えて、IT業界の新しい利益追求のレトリックと皮肉を言うひともいますが、批判をする前に、できることを一緒にやっていきましょう。目の前の仕事の中で。

最後になりましたが、一つご報告があります。1月4日をもって、サンブリッジからスピンオフして、株式会社モディファイを設立することになりました。来年もまた、新たな気持ちでお目にかかりたいと思います。よいお年を。


■今回のポイント

グリーンITは来年の最大のトレンドでしょう。日々の営業活動や制作活動においても意識しなくてはならなくなるはずです。


次回をお楽しみに!!

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