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第16回 マーケティング&ブランディングにおけるWeb2.0現象

2026.5.3 SUN

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Web2.0とはなにか?

第16回 マーケティング&ブランディングにおけるWeb2.0現象


Web2.0は、マーケティングやブランディングの分野にも大きな影響を与えています。たとえば、テレビコマーシャルがWebを強く意識しだしたことに気がついた人も多いかと思います。テレビコマーシャルは動画と音声、音楽をふんだんに使える、現時点ではもっともリッチな表現力をもった広告です。そのテレビ広告を使って、わざわざ自社のWebサイトに誘導する、テレビとネットのリミックス広告が登場したのは、既に10年前のことです。そのころは、URLを大きく表示し、あるいは大きな声で連呼することによって記憶させようと試みたものです。その状況が、Web2.0の到来を受けて、大きく変わりつつあります。

解説:小川 浩(フィードパス株式会社)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

マーケティングにも影響を与えるWeb2.0

広告は時代をうつす鏡です。Googleの爆発的な成長を受けて、つい最近では特定のキーワードを視聴者に印象づけて、それを検索するようにしむける広告のクリエイティブが流行していることを気づいた方は多いかと思います。視聴者がそのキーワードを検索すると、広告主の商品の広告サイトへのリンクが現れるというわけです。

つまり、Googleやオーバチュアの検索連動広告(検索結果に対してマッチするテキスト広告を配信すること)を利用し、特定のキーワーを買うわけです。これらのテレビ広告のほとんどは、ネット企業ではなく、リアルビジネスを展開している電機メーカーや食品メーカーなどであることは、非常に注目するべきことです。

さらに、直近では、広告に登場するタレントやキャラクターが、「詳しくはWebへ」「Webに続く」「Webまで引っぱる気ω」などのコメントを口にするスタイルがよくみられるようになりました。URLも画面に表示することはありますが、たいていはゆっくり記憶したりメモするほどの時間はとれず、商品かメーカー、ないしはタレントの名前などから検索させようというつもりであるとしか思えません。

これもGoogleと検索連動広告を使うということが、広告主や制作側にとって一般的になってきたという良い証左です。広告を見てほしい対象、つまり商品を購入するであろう潜在的顧客が、ウェブを使っているという前提で広告を制作し、多額の資金を投入しているわけです。また、「Web」という言い方をある意味平然として使用するようになったのは、梅田望夫氏の著書「ウェブ進化論」(筑摩書房)の大ヒットやWeb2.0というキーワードの普及による影響と考えています。
 

 

検索結果連動広告の利用

検索結果連動広告の利用

フォーカスすることを忘れないトの挑戦

Web2.0時代において、企業が新しいサービスを興したり、あるいは起業するうえで、もっとも重要なことは、フォーカス(焦点)を見失わないことです。

そのフォーカスをアメリカで見てみると、Yahoo!とはなんでしょう。彼らはウェブを利用するうえでのスタートページ(ポータル)です。Googleとはなんでしょうか? 彼らはウェブ上のありとあらゆる情報を発見できる、検索エンジンです。Amazon.comとはいったいなんでしょう。彼らはオンラインに登場した、世界最大の書店です。

では、日本をフォーカスしてみましょう。楽天とは日本最大のオンラインショッピングモールであり、カカクコムは最大の価格比較サイトです。アットコスメは化粧品情報に特化したCGM(消費者からの情報で成立するネットメディア)だし、mixiは日本一のSNSサイトです。

このように、ネット企業の代表として認知され、強力なブランドイメージを持っているのは、事業領域を明確に定め、その存在価値を一言で説明できる企業ばかりなのです。実際、Googleが現在の巨大なトラフィックを集められたきっかけは、Yahoo!に検索エンジンを提供する契約を取り結んだからです。Yahoo!を始めとするポータルサイトは、検索エンジンを単なる副次的なサービスに過ぎないと軽視し、コンテンツを揃えることに気を取られていました。

また、90年代後半、Googleより先に検索エンジンを開発していたAltavistaやExciteなどのベンチャーもまた、検索エンジンの事業性を信じきることができず、Yahoo!同様ポータル化を狙うようになっていました。そのころ、Googleだけが検索エンジンの持つ未来に賭けていました。その結果、「検索エンジン=Google」というブランドイメージが成立したのです。

その後Googleは、検索結果連動広告という金の卵を見つけ、今の巨大な収益を生むことができるようになったことは、周知の通りです。
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わずかなコンセプトの差が致命的になるB2Cサービス

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SNSであるmixiとGREEの場合は、フォーカスポイントの違いが現在の勢力の大きさの差異を生んだと考えます。両社は会員10万人に達した時期はほぼ同時でしたが、その後mixiがGREEを大きく引き離し、2006年8月現在では10倍以上の規模となっています。

GREEは、基本的に現実の交友関係をWebにシフトするという考え方であり、だからこそ出身校や出身地域などの既存の関連性をなぞらえる形のコミュニティの創成を支援する作りをしています。結果として、比較的IT企業の従業員や、高学歴層の会員が多いように思われます。

逆にmixiではそうした制限はなく、現実の交友関係ではなく、Web上での交友関係の樹立を促すような仕組みを基本としているようです。いまではどのSNSも採用している機能ですが、自分のページへの訪問者数をカウントできる「あしあと」サービスは、偶然訪れた見知らぬ友人と接点を持つ良い手法です。もちろん、自分が誰かのページを訪れたことを知られることをいやがる人もいるとは思いますが、この手法をベターと考える人も多いはずです。

このように、mixiがWeb上の友人作りに、GREEが非Web上の友人関係をWeb上にシフトすることに基づいてサービスを運営した結果、今の差が生まれたと考えられます。つまり、Web上のSNSとしては、ミクシィの方針のほうが、Web上で生まれ、Web上で完結するという考え方からすれば、より徹底していたと言えるでしょう。

このように、ちょっとしたコンセプトの違いが、大きな結果の違いを生みだしていきます。自分たちが何をもってビジネスとしていくのか、コアコンピタンスを何によって構成していくのかを明確にしたのち、それに集中、フォーカスしていくことがなによりも重要なのです。
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?■今回のポイント

新しいインターネットサービスを構築するのであれば、何を作るのか、ターゲットは誰なのか、ユーザーからどうみられたいのかを明確にしてからにしましょう。大事なことは、フォーカスを定め、それを徹底的に守っていくということです。

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