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第60回 90年代後半にみるトラフィックの起点とフィードビジネス(導入編)

2026.5.3 SUN

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Web2.0とはなにか?

第60回 90年代後半にみるトラフィックの起点とフィードビジネス(導入編)


10月17日はFBS(フィードビジネスシンジケーション)とインプレスR&Dが共催するフィードビジネス・サミットVol.7の開催日です。フィードビジネスが本格的に立ち上がってくるのはいつになるのでしょうか。今回はWebビジネスの黎明期を振り返って考えてみましょう。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。



ホームページボタン?


RSSフィードを用いたデータ配信は、ガジェットあるいはウィジェットのような、ブラウザ以外のインターネット接続ソフトウェアの順当な成長によって、本当の価値を示しだすのかもしれません。WebサイトはHTMLによるシンプルな記述から、CSS+XHTMLへと変化を遂げてきましたが、ブラウザではなく、IM(インスタントメッセンジャー)やガジェット上で情報の閲覧をすることを考えると、RSSのほうがはるかに向いています。現実に、iGoogleやNetvibesのようなパーソナライズドポータルは、RSSリーダーの部分的な機能を包含したハイブリッドな存在です。





話は違いますが、インターネットビジネスの流れを振り返ってみると、ユーザーにいかにして”無意識に”、かつスムーズに自社が提供するコンテンツに誘導するかの勝負を、さまざまな企業が激しく争ってきたことが分かります。90年代の終わり頃にポータルこそが最強のビジネスモデルであるという認識が広まりました。この頃のポータルが意味するものとは、その言葉通り、ユーザーが最初に開くページのことで、現在のポータルが持つ、デスティネーション的な要素も併せ持つ総合サイトとは別物です。ありとあらゆるインターネット企業がなんとか自分たちのサイトを、ユーザーに最初に開かせようと死にものぐるいになったものです。

いまではみられない現象ですが、この時期のパソコンのキーボードには、物理的にホームページボタンが設置され、そのボタンを押すとインターネットに接続されその結果ホームページに設定されているページが開く、ということがありました。余談ですが、このころは、まずモデムによって電話回線を通してインターネットに接続していたという時代背景がありました。

各パソコンメーカーは、最初は自社の企業サイトをデフォルトのホームページとして設定していましたが、徐々に自身の手による独自のポータルを作ろうとしたり、あるいはYahoo!などの有力ポータルのサイトをポータルとして設定することによってお金をとろうとしました。つまり、物理的なボタンを広告媒体とすることと同じです。

もちろん、このホームページボタンを押さずにブラウザを開けば、自分の好きなサイトをホームページにすることはできるわけですが、ユーザーがそれを学習するまでの間は、それなりに効果があったのでしょう。



Feedによる直接的なコンタクトがトラフィックを奪う


先述しましたが、ポータルはユーザーが長時間滞在しやすいようなさまざまなコンテンツを含むサービスを自身で併せ持つことによって肥大化するデスティネーション化しています。しかし、純粋にトラフィックの起点、というポータル機能は、実は90年代のそれとはまったく別物になっています。現代の真のポータル、それはGoogleに代表される検索エンジンです。

というのも、いまのインターネットユーザーは検索エンジンを本来の検索、という意味ではなく、好きなコンテンツへのスタートアクションとして使っているからです。つまり、検索キーワードあるいはクエリは、ある意味好きなコンテンツにたどり着くためのマジックワード(呪文)であり、その言葉の意味やその言葉自体を含む何らかのサイトを開かせるものというよりは、ダイレクトに目的のサイトを開くための代替アクションになっているのです。

これは広告を見ていれば分かります。2年ほど前にライフカードなどのTVコマーシャルで認知されたことですが、テレビではドメインをほとんど示さずに、単純にキーワードを覚えてもらって、ユーザーに自発的にそのキーワードを検索してもらって、Web上だけに置いたコンテンツに誘導する、という手法がはやり始めました。

ライフカードの場合はライフカードという会社名もしくは特定ブランドをそのまま検索させようとしたわけですが、最近では、キャンペーンごとになんらかのユニークな言葉を作り、その言葉に検索連動型広告を利用することによって間違いなく自社のコンテンツをヒットさせるという手法が目立ち始めています。90年代の広告の場合、ネットへの誘導を図るときは、単純にドメインの連呼でしたが、それが検索エンジンの台頭によって、上述のように洗練されてきたわけです。

こうなってくると、いくらYahoo!などの総合ポータルがコンテンツを充実させても、トラフィックの起点が検索エンジンになってしまえば、すべてを自分のポータル内のコンテンツに誘導することはできないわけですから、どうしてもトラフィックが外に流失してしまいます。

しかも、やっかいなことに、Feedリーダーがほんとうに普及してしまえば、そしてFeedをすべてのサイトが配信し始めたとしたら、検索して目当てのコンテンツにたどり着いてしまえば、そのあとはFeedリーダーで直接コンテンツを登録してしまうので、以降は検索エンジンさえ使わなくなります。つまり、検索して、コンテンツを得て、そのコンテンツをブックマークすること無くまた検索エンジンを利用してそのコンテンツを読む、という現在のトラフィックの動きが、コンテンツを得たらその後は直接Feedで読む、という流れに変わってしまう恐れがあるわけです。

つまり、すべてのサイト、あるいはコンテンツホルダーがRSSでコンテンツを、しかもフルフィード(全文フィード)で配信し始めたら、現在のGoogleの覇権も崩れる可能性がある。だから、Googleは実はいま最もGoogle Readerの有効な利用方法と、その部分的機能の全サービスへの共有化を沈思黙考している、と僕は考えています。

modiphi.comのFeedリーダー
modiphi.comのFeedリーダー


■今回のポイント
ポータルから検索エンジンへ、そして検索からマジックワード(ドメインの代わりとなる、サイトへの誘導用文言)へとトラフィックの起点は変わってきています。RSSフィードの普及はそうした流れを破壊する可能性があります。



次回をお楽しみに!!
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