
第12回:Web2.0で企業の情報共有の仕方はどう変わるか?
Webがプラットフォームとなることによって、さまざまなビジネスチャンスが生まれてくるとは、何度も繰り返している通りです。情報共有と言えばグループウェアですが、イントラブログやイントラSNSのようなサービスも次から次へと生まれています。企業の情報共有の仕方にも2.0化の波が現れているのです。
解説:小川 浩(フィードパス株式会社)
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[プロフィール]
お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、現在に至る。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。
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企業向けサービスの2.0化
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法人市場においても、Web2.0の影響は顕著です。Googleが最近リリースしたGoogle Spreadsheets(表計算サービス)や、もうすぐ正式にリリースするであろうオンラインワープロサービスなどは、Gmailと組み合わせると、MS Officeに近いサービスとなります。また、Google Calendar(スケジュール管理サービス)が加わると、MS Officeどころか、グループウェア化して、MS ExchangeやLotus Notes、サイボウズなどと同じ市場に進出する可能性があるのです。と、解説してみたものの、Googleは既にGoogle For Your Domain(GFYD)と呼ばれる企業向けサービスを開始しています。
GFYDは、好きなドメインで利用できて、メールボックスはなんと一人当たり2ギガバイト、広告が出ることさえ我慢すれば、25ユーザーまで無料で利用できます。チームで共有できるカレンダーソフトなど、さまざまなアプリケーションがすべて無料で使えます。SOHOや中小企業であれば、有料のグループウェアを捨てて、Googleのサービスに流れる会社も増えてくる可能性大です。
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SaaSが市場を変える
そもそも、何度か説明しているSaaSという形式であれば、社内にサーバーを持って、そこにソフトをインストールする必要がありません。ASP(アプリケーションサービスプロバイダー。アプリケーションをサービスとして、通常は月額払いでインターネット越しに提供する形式)形式での提供なので、管理コストやメンテナンスコストが不要です。
最近ではこのASP型提供モデルをSaaS(Software as a service=サービスとしてのソフトウェア)と呼ぶわけですが、自社でサーバー管理をしたり、技術者を抱えることができない企業にとっては非常にありがたいはずです。
イントラネット内のサーバーやパソコンにソフトウェアをインストールしようとすると、Microsoftとの直接競合にさらされてしまい、それに耐えられる企業は現在でもGoogleくらいのものですが、インターネット越しにサービス提供することができれば、OSがなんであれ関係ありませんので、Microsoftの脅威を低減化することができます。つまり、Web2.0の原則である、Webこそがプラットフォームであるという事実をメリットとして応用できるわけです。
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Web2.0サービスのプラットホーム
データのネット企業へ寄託は預金と同じ
企業情報を他のインターネット企業に預けることにセキュリティ上問題があるという懸念を抱く会社もあるとは思いますが、銀行という民間企業にお金を預けているのと同じように、システムやデータを信頼に足る企業に預けて管理を委託するという動きは、今後は自然になるでしょう。
それどころか、ソフトウェアパッケージ販売を収益の核としているMicrosoftでさえも、オフィス・ライブと呼ばれるSaaSモデルの提供を計画しています(前回の記事参照)。同サービスは、中小企業向けの業務アプリケーションをインターネット上で利用できるようにするもので、顧客管理や経費計算などを有料で利用できるといいます。
このように、SaaSによる情報共有ツールのアウトソースに企業が踏み切れば、場所を問わずに情報の受発信を行うことができるようになるでしょうし、Web2.0のもたらす恩恵を、グループ単位で体験することになるでしょう。
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SaaSによる知識共有の概念図
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■今回のポイント
Web2.0は、個人向けのサービスや、それに使われているAjaxなどの技術だけの話ではないし、CGM(コンシューマー参加型メディア)だけがすべてではありません。法人市場向けに新たな2.0化を目指す企業の挑戦にも目を向けるべきでしょう。企業内CGMのようなサービスもまた、大きな事業機会を持っていると思います。
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次回につづく