第34回 ポータルビジネスの終焉 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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Web2.0とはなにか?

第34回 ポータルビジネスの終焉

ロングテールが明確になってくるということは、ヘッド部分、たとえばPVでいうならば、これまでの巨大ポータルのトラフィックが落ちる、もしくは影響力を失ってくるということです。その意味するところを解説します。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

ロングテールの副作用

Web2.0における代表的な現象として、ロングテールがあることは既に説明した通りです。たとえばスーパーマーケットの品ぞろいを考えたとき、最近ではPOSを使って、よく売れている商品、あるいは逆に売れていない商品をリアルタイムで知ることができるので、売れているものは補充し、売れていないものは棚を変えるか、それとも取扱いそのものをやめてしまうことになります。リアルの世界では、商品を置く棚や倉庫のスペースには物理的な限界があり、広げればそれだけコストがかかるので、むやみに行なうことはできません。

インターネットの場合、基本的にはこの限界がないので、品ぞろいを顧客の要求に伴い、ほぼ限界なく深く広くしていくことが可能です。この結果、あまり売れていない商品であっても、その種類があまりにも多いので、総額を考えると売れ線の商品の売上に匹敵するだけの金額になってくるのです。

この状況をグラフ化すると、蛇が鎌首を上げた姿を横から見るような形になるので、ロングテールと呼ばれているわけです。ちなみに、売れ線の商品群(たとえばトップ10)をヘッド、売れていない商品群の総計をテール、といいます。

このロングテール現象は、反対に言えば、ヘッド部分が持つ影響力が、相対的に下がっていく、ということになります。インターネットにおけるトラフィックでいえば、ヘッド部分とは、いわゆるポータル、具体的に言えばYahoo!やMSNなどのサイトになります。ロングテール現象が顕著になればなるほど、ポータルサイトの持つ影響力が低下する、ということになります。

De-Portalization現象


ポータルのトラフィックが低下する現象を、De-Portalization(ディポータライゼイション)といいます。地図に置き換えてみると、2000年以前の状況は、Yahoo!やMSNといった主要ポータルが、まるで巨大な山脈のように連なり、それ以外は平地、という光景でした。それが、ブログやSNSが普及の兆しを見せ始めた2004年頃から大きく変わり始め、中規模の山々(=ポータル)と、さらに小さい、無数の丘が広がっているかのような光景に変わります。そして、この状況が進めば、近い将来は、目立って大きな山は消え、多くの丘と、広々とした平野が広がるような光景へと変化していくはずです。

つまり、トラフィックは平野部分、すなわち個人のブログやSNSのような小規模サイトの集団に広がっていき、ポータルの影響力は著しく低くなっていくわけです。

これまでのポータルは、非常に多岐にわたるさまざまなツールやサービスを提供し、トップページにトラフィックを集約する戦略を採用してきましたが、今後は、自らの戦略を破壊してでも、このDe-Portalization時代にフィットする途を模索する必要があるでしょう。

De-Portalization(ディポータライゼイション)の概念図
De-Portalization(ディポータライゼイション)の概念図

■今回のポイント

Web2.0 とはWebの環境変化とその特長への認識です。このトレンドは今後数年にわたって加速していきます。その認識を持つことによって、たとえ巨大ポータルであっても自分自身のビジネスモデルを再考する必要があるのです。

次回をお楽しみに!!
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