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Web2.0とはなにか?

第46回 Google ウォッチング-5

Googleの最大の武器はその検索エンジンです。というよりも、いまとなっては検索エンジンそのものの優秀さよりも、優秀であるというイメージそのものが武器です。Googleと戦うには、彼らの検索エンジンよりも優秀な検索エンジンを作るか、あるいは優秀であると思わせることができるかにかかっています。だからこそ、MicrosoftもYhaoo!も自社検索エンジンの開発に巨額の資金を投じています。しかし、彼らの検索エンジンと張り合うのではなく、また別のアプローチも存在するように思います。今回はその一つである、フィードの世界について話をします。

解説:小川 浩(株式会社サンブリッジ modiphi事業部エグゼクティブプロデューサー)

[プロフィール]

お がわ・ひろし●1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業及び在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業するなど、アントレプレ ナーとして活躍。その後日立製作所を経てサイボウズにジョイン。feedpathの基本設計を考案し、フィードパス株式会社のCOOに就任するが、 2007年12月に退任。現在は㈱サンブリッジにて起業準備中。ブロガーとしてSpeed Feed、「Web2.0BOOK」「ビジネスブログブック」シリーズなどの著作がある。

フィードはリンクしていないトラフィック

まず、GoogleはなぜWeb上にあれだけ大きな影響力を持っているのでしょう。Webは、HTML文書をハイパーリンクすることによってネットワーク化したコミュニケーションプラットフォームです。GoogleはそのWeb上にあるHTML文書を検索するシステム、つまり検索エンジンを提供する会社です。Google以前の検索エンジンは、HTML文書のキーワードを探し出す、ということだけを考えて作られていましたが、GoogleはWeb上のHTML文書は互いにリンクされているという事実に着目しました。つまり、ハイパーリンクによってネットワーク化されている情報を探し出す技術を磨き上げたのです。

Googleが買収したYouTubeは動画の共有サイトですが、動画の中身をGoogleは検索することができるわけではなく、その動画につけられたタグと、一つの動画ごとに作られる一つのHTMLファイル、そしてそのURLがあればGoogleは検索できます。つまり、Googleもテキスト文書であれば全文検索するわけですが、それよりもそのHTMLファイルのリンク情報に依存しているからこそ、ある程度の誤差はあってもより広範囲のファイル形式を検索対象に出来るのです。

ところで、WebがHTMLという言語で書き出されたファイルを使って情報伝達をする方法であるならば、フィードはRSSあるいはAtomという言語で書き出されたファイルを使って情報伝達をする方法です。どちらの場合も文書ファイルとしてURLを持つのですが、フィードは基本的にこれまでのWebとは違って、互いにリンクされているわけではないので、Googleにとっては非常に検索しづらいトラフィックです。

フィードの役割

Webの進化を再考します。Web1.0とは、Web上にある情報をいかに受信するか、それを円滑にしてくれる方法としての検索をいかに進化させるか、という発展をしてきた過程です。つまり、Web1.0とはWeb上にある情報の「受信」と「検索」の進化です。対して、Web2.0は、「発信」とその結果としての「共有」が加わります。別の言い方をすると、Web1.0は情報のダウンロード方法の進化、Web2.0はこれに加えてアップロード方法の進化、とも言えるのです。

いずれにしても、Web2.0は、情報の「受信」「検索」「発信」「共有」の4つの要素を螺旋状に進化させるムーブメントである、ということに異論を挟む人はいないと思います。

しかし、情報を受信するためには、何の情報を受信するかをユーザーはどうやって決めるのでしょうか。何を検索するかを、どう決めているのでしょう。Web上の情報が更新されて、新しい何かが生まれていることをユーザーは何らかの方法で知り、そしてそれを受信したり検索したりするわけです。つまり、大事なことは更新情報であり、その「通知」です。

Web上の情報の変化、更新の通知を司るメディア。それがフィードです。Web2.0は、フィードの助けを借りて、「通知」「受信」「検索」「発信」「共有」という5つの要素をもってこそ、本当のデータベース、情報のプラットフォームとしての役割を果たせるようになると思います。

FeedBurnerを買収したGoogle

Webと違ってネットワーク化されてはいないフィード。自慢の検索エンジンの優位性をいかせない新しいトラフィックをGoogleはどう見ているのでしょうか。

最近、GoogleはあるM&A(企業買収)をもってこの問いに答えてくれました。フィードの発行管理代行の最大手企業、FeedBurnerを買収したのです。FeedBurnerは、フィードの発行代行を行うとともに、そのトラフィックのトラッキングサービスと、フィードへの広告出稿を行うベンチャーです。Googleは、フィードをWebに続く広告出稿用のメディアとして見ているのでしょう。アドセンス/アドワーズをフィードにも利用できるように、近々カスタマイズしてくるのは目に見えています。

フィードのマネタイズ戦争は始まったばかり

フィードはBlogの更新情報の配信という役割を越え、ありとあらゆるWebサイトの更新情報として発信されるようになってきています。Blogのステークホルダー全体を一つの世界観として示す考え方をブロゴスフィアといいますが、このBlogの世界とフィードの世界は、数年前はほぼ同じものでした。(図1)いまでは、全く異なる様相を示しています。

現在のフィードのビジネスモデルは図2のような構成になっていますが、数年以内にプレイヤーの数も、ビジネスモデルの種類も急増し、複雑化するでしょう。

FeedBurnerを買ったからといって、Googleがフィードにおいても絶対権力を振るえるかどうかはまだ何とも言えないのです。
図1
図1
図2
図2



■今回のポイント

Googleの最大の長所は検索エンジンの優秀さと、それを認知させているブランドそのものです。フィードの世界では、Google特有の検索エンジンがあまり役に立たないため、他のベンチャーにも大きなチャンスがあります。次回は、検索エンジンそのものを無力化するもう一つのアプローチをご紹介します。

次回をお楽しみに!!
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